1994 Fiscal Year Annual Research Report
細胞骨格蛋白とインスリン様増殖因子IIが神経芽腫の浸潤性に与える影響に関する研究
Project/Area Number |
05671496
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
財前 善雄 九州大学, 医学部, 講師 (50221289)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水田 祥代 九州大学, 医学部, 教授 (30038856)
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Keywords | 神経芽腫 / 浸潤性 / インスリン様増殖因子II / レチノイン酸 / N-myc / 細胞運動性 |
Research Abstract |
神経芽腫において,N-myc遺伝子が増幅しているものは,周囲組織への浸潤が著しく,ひいては転移をきたしやすい.われわれは以前よりN-myc遺伝子の増幅と神経芽腫細胞の湿潤性が極めてよく相関することを報告してきた.そこで細胞の運動性と浸潤性の関係について検討した. IMR-32,GOTO,ST,DZ,SK-N-SHの5種類のヒト神経芽腫細胞の浸潤性とN-myc遺伝子の増幅の程度を測定した.浸潤性についてはAlbiniらのdouble chamberを用いたassay法にて行った. SK-N-SHにはN-myc遺伝子の増幅は見られず,浸潤性も極めて低かったが,IMR-32,GOTOはそれぞれ15copy,12copyの増幅がみられ,浸潤性もそれぞれSK-N-SHの9.1倍,8,8倍と高い値を示した.細胞運動性については画像解析装置にて測定した.IMR-32及びGOTOはSK-N-SHの2.3-1.9倍の高さの運動性を示した.しかし,reinoic acid 10^<-5>M,72時間処理でIMR-32もGOTOもN-mycの発現(Northern blott)は著しく低下した.また,これに伴ってこの両者は細胞運動も低下しており,さらに,浸潤性にも著しい低下を認めた.このように,細胞運動性は浸潤性と密接に関係しており,さらに,N-myc遺伝子の発現の程度によって大きく影響されることが判明した.
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