1994 Fiscal Year Annual Research Report
各種唾液腺腫瘍における細胞増殖能の形態学的ならびに数量的解析
Project/Area Number |
05671502
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
二階 宏昌 広島大学, 歯学部, 教授 (60028735)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮内 睦美 広島大学, 歯学部, 助手 (50169265)
小川 郁子 広島大学, 歯学部附属病院, 講師 (70136092)
高田 隆 広島大学, 歯学部, 助教授 (10154783)
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Keywords | 唾液腺腫瘍 / 細胞増殖能 / 予後 / PCNA / AgNOR / p53 |
Research Abstract |
組織学的に多彩な像を示すことが特徴の一つである唾液腺腫瘍において、確定診断、予後推測に役立つ客観的な組織学的因子の同定を目的として、前年度に予後因子としての有用性が示された、腫瘍細胞の増殖細胞核抗原標識率(PCNA LI)ならびにAgNOR値に関する検討を継続するとともに、癌抑制遺伝子p53の異常について検索し、以下の知見を得た。 1.粘表皮癌(MEC)におけるPCNA LIと組織学的グレード(Gr)分類、予後との関連について MECを組織学的構築、構成細胞の比率に基づいて組織学的に3型に分類し、それぞれのPCNA LIや予後について検討した。GrI・IIにおけるPCNA LIは近似し、いずれの症例も治療後の予後は良好であった。一方、GrIIIのPCNA LIは有意に高い値を示したが、症例ごとの差が大きく、強い細胞異型を伴う症例で高値を示す傾向があり、それらでは、予後が不良であった。したがって、PCNA LIはMECの予後判定に際しても有用であることが示唆された。 2.腺様嚢胞癌(ACC)におけるAgNOR値と組織学的グレード(Gr)分類、予後との関連について ACCを組織パターンにより3型に分類し、それぞれのAgNOR値、予後(転移の有無によって規定)について検討した。それらの間にはいずれも正の相関がみられたが、それらに比べてAgNOR値と予後とはより強く関連することが明らかとなり、高いAgNOR値が組織学的Grに関わらず侵襲性の高いACCの指標となることが示唆された。 3.癌抑制遺伝子p53の異常について PCNA LIの計測に用いたMECを対象に、PCNAの過剰発現に関わる可能性があるp53の異常について検討した。その結果、MECではp53の異常がみられる症例は少なく、腫瘍細胞の増殖能の上昇への関与は低いとみなされた。
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[Publications] VUHAHULA,Edda: "Prognostic value of argyrophilic nucleolar organizer regions (AgNOR) count in adenoid cystic carcinoma of" Pathology International. 44. 368-373 (1994)
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[Publications] 重松久夫: "口蓋のpolymorphous low-grade adenocarcinomaに関する臨床的ならびに免疫組織学的検討" 日本口腔科学会雑誌. 43. 119-127 (1994)