1993 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病原嫌気性細菌における遺伝子組換え実験用宿主-ベクター系の開発と改良
Project/Area Number |
05671525
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
吉本 尚 神奈川歯科大学, 歯学部, 講師 (60084787)
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Keywords | P.gingivalis / 形質転換 / 制限酵素 |
Research Abstract |
昨年度までに交付を受けた補助金での研究成果として、Porphyromonas gingivalisのエレクトロポレーション法による形質転換に初めて成功した。しかし、そこで形質転換が可能であったのは、用いたプラスミドDNAがP.gingivalis自体から抽出したものである時に限られ、その理由として、同菌種には制限酵素が広く存在する(しかも多くは複数の制限酵素を有している)ことが推定された。 本研究では上の結果をもとに、形質転換を異菌種(例えば大腸菌)から抽出したプラスミドDNAを用いた場合でも可能な「汎用の実験系」とすべく、P.gingivalis株の中から制限酵素を有しない変異株を得ることを試みた。 先ず,P.gingivalisの多くの菌株の中から、制限作用が限定的な株を探した。即ち、各種菌株から得たプラスミドで形質転換を行い、菌株による形質転換頻度に差の少ない株を探したところ、LS95株がそれに該当した。次いで、同株をニトロソグアニジン処理により変異を誘発し、それを受容菌として形質転換を試みたところ、大腸菌から抽出したプラスミドを用いた場合でも、極めて低頻度ながら形質転換体が得られた。そこで、その形質転換体のプラスミドを脱落させた上で純化し、大腸菌抽出プラスミドでの形質転換を再度行ったところ、常に一定の頻度で形質転換体が得られた。ただし、その場合でも、頻度はP.gingivalisから抽出したDNAを用いた場合の約1/100と低く、制限作用がまだ残存していると思われる。次年度は、更に菌株の改良を進め、それを用いてベクター用プラスミドの検索等、本実験系の実用化への取組をさらに進めたいと考えている。
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