1993 Fiscal Year Annual Research Report
口腔粘膜上皮細胞に発現するサイトカインの細胞病理学的解析
Project/Area Number |
05671526
|
Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
渡辺 是久 神奈川歯科大学, 歯学部, 教授 (50084786)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 善子 神奈川歯科大学, 歯学部, 助手 (70232600)
窪田 展久 神奈川歯科大学, 歯学部, 助手 (20234495)
|
Keywords | ヒト歯肉培養細胞 / IL-1alpha / IL-1beta / レーザー顕微鏡 / 酵素抗体法 / 蛍光抗体法 / LPS / 歯周疾患 |
Research Abstract |
平成5年度の研究では、ヒト歯肉初代培養細胞を用い、上皮細胞、線維芽細胞に発現するIL-1alphaおよびbetaの免疫組織化学的検索を行った。さらにヒトから採取した歯肉組織から0.4%Dispaseで上皮細胞のみを分離後、上皮細胞の初代培養細胞を用いてLPS(Salmonalla typhimuriumより摘出)刺激前および刺激後のIL-1alphaおよびbetaの発現量をACAS570レーザー・サイトメーター(MERIDIAN社製、組織・付着細胞機能顕微蛍光自動解析システム)で解析した。 現在まで検索した18例のヒト歯肉初代培養細胞では、上皮細胞、線維芽細胞ともにその一部にIL-1alphaおよびbetaの発現が観察され、その発現細胞数は上皮細胞、線維芽細胞ともに個体差が認められた。蛍光抗体間接法でIL-1alphaの局在は核内および核辺縁の細胞質内にdetectされた一方、IL-1betaは核周囲を中心とした細胞質内に顆粒状の形態でdetectされた。LPS刺激によって上皮細胞・線維芽細胞ともにIL-1beta発現細胞数の増加が観察された。さらに1才から21才までの10例のヒト歯肉初代培養上皮細胞の解析では、LPS刺激後全ての例でIL-1alphaの発現細胞数の増加が認められた。一方IL-1betaの発現細胞数の増加は極めて軽度であった。10例中1例(6才、男性)にLPS刺激によってIL-1alphaの著しい増加が認められた。 以上の結果から、ヒト歯肉上皮細胞および線維芽細胞にIL-1alphaおよびbetaの発現が明らかに認められることがsingle cell levelで形態的に証明され、従来から歯周疾患患者等の病的因子のbarrierとして考えられてきた歯肉上皮がIL-1alphaおよびbetaの発現等免疫学的活性を有する細胞であり、その発現に個体差があることが明らかとなり、歯周疾患等の発症と進展やその病型の相異の原因が宿主側の細胞の反応の相異にあることが示唆された。
|
Research Products
(1 results)