1993 Fiscal Year Annual Research Report
脳幹神経細胞伝達物質受容体に対するステロイドホルモンの作用
Project/Area Number |
05671559
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Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
柳沢 慧二 鶴見大学, 歯学部, 教授 (20064363)
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Keywords | 歯科麻酔 / 脳幹神経細胞 / GABA受容体 / アフリカツメガエル / 卵母細胞 / mRNA / ステロイドホルモン / 増強作用 |
Research Abstract |
歯科領域における、感覚および運動1次中枢である脳幹部でのステロイドホルモンおよびこの誘導体の作用を調べるため、アフリカツメガエルの卵母細胞のmRNA翻訳系を使用した。まず、マウス脳幹部全体からのmRNAをアフリカツメガエル卵母細胞に打ち込み、ステロイドホルモンの代謝産物、3alpha,21‐dihydroxy‐5alpha‐pregnan‐20‐one(THDOC)、3alpha‐hydroxy‐5alpha‐pregnan‐20‐one(3alpha‐OH‐DHP)および、これに極めて近似の構造を持つ人工誘導体で、かつては麻酔の導入剤として使用されていた、3alpha‐hydroxy‐5alpha‐pregnan‐11,20‐dione(alfaxalone)が、抑制性伝達物質であるGABAの応答を10nMもの低濃度において増強することを確かめた。一方、ステロイドホルモン自体、testosterone、progesterone、estradiol等にはこの増強作用は認められず、高濃度(0.5muM以上)においてGABAの応答を抑制した。以上の事を確かめた後、メスの成体マウス脳幹部を大きく4つに分け、三叉神経中脳路核を含む中脳部から抽出したmRNAで、アフリカツメガエルの翻訳系を利用して同様の実験を行った。前述のTHDOC、3alpha‐OH‐DHP、alfaxalone、3者ともにGABA応答に対し非常に大きな増強作用を示し、10muM GABAの応答を10倍以上にも増強する例さえ認められた。この事は、ステロイドホルモン、特に性ホルモンの分泌周期が、歯科麻酔作用に影響を与える可能性を示唆するものであると考えられる。以後、脳幹部、残りの3部位のmRNAで同様の実験を行ない、4部位間の差、あるいは4部位と脳幹以外、大脳等の部位との差をみたい。
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