1993 Fiscal Year Annual Research Report
コンポジットレジン修復における象牙質親和性接着法の試み
Project/Area Number |
05671597
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
佐藤 尚毅 広島大学, 歯学部, 助教授 (20136097)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森川 明広 広島大学, 歯学部, 助手 (40230099)
松前 泉 広島大学, 歯学部, 助手 (80183614)
占部 秀徳 広島大学, 歯学部・附属病院, 助手 (10231185)
新谷 英章 広島大学, 歯学部, 教授 (80034239)
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Keywords | タンニン酸 / 象牙質 / 前処理剤 |
Research Abstract |
コンポジットレジン修復において、象牙質とコンポジットレジンの接着は、象牙質のコラーゲン繊維の存在などにより未だ充分なものでなく、象牙質に対しても安全で、安定した接着性を有する前処理剤並びにボンデイング材の開発が強く望まれる。すなわち、接着性に優れる材料の開発や治療法の改善と同時に、う蝕や歯周疾患に対する予防的修復法の確立も重要な課題と考える。そこで、タンニン酸の有する蛋白収斂作用、抗菌作用、コラーゲンの抗酵素性を高める作用などに着目し、前処理剤としてタンニン酸を用いて、エッチングによるコラーゲンの侵襲を防止すると共にコラーゲンを強化し、ボンデイング材中にもタンニン酸を配合してコラーゲン繊維との親和性を持たせることにより、象牙質へのレジンの接着性を高めながらう蝕の再発を防止することを目的として、その有効濃度や作用時間の判定やその安全性を検討した。タンニン酸を象牙質前処理剤として使用した際のタンニン酸のコラーゲンの溶解性に及ぼす影響を調べるために、牛アキレス腱コラーゲンを用いて各種濃度、作用時間を変えた各種酸溶液で処理した状態を形態学的にSEM観察した結果、未処理コラーゲンでは、コラーゲンの繊維構造および横紋構造が観察されたが、リン酸、あるいはクエン酸処理を施すと、コラーゲンの繊維構造は失われ、無構造を呈した。タンニン酸処理では、コラーゲン繊維の補強効果が観察され、タンニン酸処理後にリン酸処理を行ったコラーゲンにおいてさえも、繊維構造が残ることが観察された。一方、タンニン酸の口腔レンサ球菌に対する作用を、Streptococcus mutans,S.sobrinus,S.sanguis,S.salivariusを用いて検討した。抗菌性の検索として、最小発育阻止濃度(MIC)を測定した結果、いづれの菌株においても300〜400μg/mlであることが、また、殺菌力の検索として、石炭酸係数を測定した結果、S.mutansへの殺菌性が強いことが判明した。
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