顆粒球中性プロテアーゼの歯周組織破壊過程に於ける役割およびその機能制御について

1994 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 05671600
• Research Institution: Nagasaki University
• Principal Investigator: 國松 和司 長崎大学, 歯学部, 講師 (20170011)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 原 宜興 長崎大学, 歯学部, 助教授 (60159100) ; 加藤 伊八 長崎大学, 歯学部, 教授 (30005087)
• Keywords: カテプシンG / メダラシン / 歯周疾患 / リソゾーム性酵素 / 実験的歯肉炎 / プロテアーゼインヒビター

Research Abstract

歯周疾患による組織破壊機構における宿主由来のリソゾーム性プロテアーゼの役割を知る目的で、昨年に引き続き代表的なセリンプロテアーゼであるカテプシンGとメダラシンを対象にして、それらの組織破壊への関与を調べる動物実験ならびにヒト歯周疾患患者歯肉溝滲出液中の動態について検索し、併せてそれらの特異的な生体内インヒビターであるα_1-プロテイナーゼインヒビターならびにα_1-アンチキモトリプシンとの関連を調べた.我々は既にメダラシンの滲出液中の免疫定量を行い、歯周組織破壊との関連ならびにα_1-プロテアナーゼインヒビターならびにα_1-アンチキモトリプシンによるメダラシンの酵素活性の制御について報告してきた.そこで、カテプシンGについても同様の実験を行ったところ、臨床症状を反映すると考えられるパラメーターである滲出液量に比例して酵素量が有意に増加することから、本酵素の歯周炎の進展への関与が示唆された.さらに、酵素ならびにインヒビターの抗体を用いた免疫ブロッティングにより、滲出液中には酵素ならびにインヒビターが単独に、あるいは両者が複合体を形成して存在することが示された.また、ヒトに歯口清掃を停止させて実験的に歯肉炎を惹起させた場合、臨床症状の発現よりも早く酵素量の著しい増加が認められ、炎症の惹起作用を含めた本酵素の関与が示唆された.さらに、精製した両酵素をラットの歯肉に注入した実験からメダラシンおよびカテプシンGは、ともに血管の著しい損傷を伴う炎症反応を示したが、 マクロファージや好中球などの炎症性細胞の浸潤は比較的軽度であった.また、これらの酵素をインヒビターと前処理すると、酵素の機能(活性)が完全に抑制され、組織破壊はみとめられなかった.これらの結果より、両酵素が歯周疾患と極めて関連深いことが明らかとなり、その機能は生体内のインヒビターとのバランスの上に成立することが明確となった.

Research Products

• [Publications] Kunimatsu K.et al.: "Identification and possible function of cathepsin G in gingival crevicular fluid from chronic adult periodontitis patients and from experimental gingivitis subjects." Journal of periodontal Research. 30. 51-57 (1995)
• [Publications] Kunimatsu K.et al.: "Distributuin of cathepsins E and D in inflamed gingival tissues." Journal of Dental Research. 73. 901- (1994)
• [Publications] Kunimatsu K.et al.: "Immunohistochemical study of cathepsin G and medullasin in inflamed gingivae." Journal of Dental Research. 73. 906- (1994)