1993 Fiscal Year Annual Research Report
半透膜を応用する水酸化カルシウムによる生活歯髄切断法に関する実験的研究
Project/Area Number |
05671607
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
北島 佳代子 日本歯科大学, 新潟歯学部, 助手 (00177841)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
五十嵐 勝 日本歯科大学, 新潟歯学部, 助教授 (90168104)
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Keywords | 生活歯髄切断法 / 水酸化カルシウム / 半透膜 / 庇蓋硬組織 / 壊死層 / 裂隙 / 歯根未完成歯 / 透過型電子顕微鏡 |
Research Abstract |
水酸化カルシウムを用いた生活歯髄切断法は生活歯髄を残存させ得る治療法として優れたものであるが、強アルカリによる壊死層形成に伴い、新生庇蓋硬組織中に裂隙や組織欠損部を生ずるという欠点がある。本研究では、水酸化カルシウムの化学的刺激を減じ、壊死層の形成を抑制し、さらに歯髄側からの体液の排出を妨げない半透膜を歯髄面に応用するという独創的考えのもとで、従来の生活歯髄切断法の問題点を補正し、安定した創傷治癒状態と臨床成績を期待するものである。歯髄面に用いる材料としては、凍結乾燥脳膜やキチン膜あるいは四フッ化エチレン樹脂多孔体フィルム(PTFEフィルター)や四フッ化エチレン樹脂特殊伸展加工体膜(Gore Tex膜)などが考えられるが、それらを歯周組織に応用した場合の先人の報告では、前2者は刺激遮断効果が低く、線維芽細胞の遊走、増殖による結合組織性修復像を示し、後2者では刺激遮断効果が高く、結合組織性線維の増加と新生骨の増加がみられたという。そこで今回はまず、PTFEフィルターとGore Tex膜を実験に供することとした。実験にはカニクイザルの幼若永久歯を用い、ラバーダム防湿の無菌的環境下にて、通法に従つて生活歯髄を切断し、6%NaOClと3%H_2O_2によるケミカルサージェリーを施した。露髄面の直径に適合させた上記の選択透過膜は歯髄切断面に応用し、その上に水酸化カルシウムペーストを貼付した。対照として一部は選択透過膜のみ、また水酸化カルシウムのみを応用し、各々〓洞に接着性レジン修復を施した。貼付後6,12,24時間後、7,15日後、1ヶ月後の実験期間後Karnovsky液にて灌流固定した。長軸方向に歯を2分割し、光顕用パラフィン切片、電顕用超薄切片を作製した。各種染色を施し、現在、光顕ならびに透過電顕にて観察中である。今後実験成績について検索、考察し、さらに、用いる透過膜の種類についても検討していきたいと考えている。
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Research Products
(1 results)