1993 Fiscal Year Annual Research Report
臼歯部用コンポジットレジン充填歯に発生する咬合痛のメカニズムとその予防法
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05671611
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Research Institution | Asahi University |
Principal Investigator |
平田 健一 朝日大学, 歯学部, 講師 (80165175)
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Keywords | 咬合痛 / 歯液移動量 / コンポジットレジン |
Research Abstract |
新鮮抜去上顎小臼歯咬合面中央に円柱状の規格窩洞(窩底部の直径2.0mm,深さ2.5mm)を形成した。この窩洞内全面を酸処理し、窩洞内象牙質の表層を脆弱化させた。この窩洞に、まず、コントロールとしてアマルガムを充填した。次に、このアマルガムを除去し、再び酸処理により、窩洞内象牙質を脆弱化させた。この窩洞には、ボンディング剤を塗布せず、コンポジットレジンインレー(CRI)をCRIセメントで合着した。さらに、このCRIを除去後、再び窩洞内を酸処理した。この窩洞内には、ボンディング剤を塗布し、光照射によりこのボンディング剤を硬化させたのち、コンポジットレジンインレーを合着した。 それぞれの修復物上に、約30kgの荷重を加えた時の歯液移動量を測定したところ、ボンディング剤を塗布せず、CRIを合着したものは、0.47±0.12mmの歯液移動量を示した。これはコントロールのアマルガム充填の移動量(0.19±0.05mm)より大きく有意な差が認められた。しかし、ボンディング剤を塗布後、光照射により硬化させたのち、CRIを合着した場合の歯液移動量は0.27±0.03mmと少なく、コントロールのアマルガム充填と差が認められなかった。 従って、酸処理により脆弱となった象牙質は塗布されたボンディング剤の硬化により補強され、歯液の移動が減少したものと考えられる。しかし、塗布したボンディング剤を光照射により硬化させても、その後の修復をCRIでなく、コンポジットレジンを直接充填し、窩洞内で重合硬化させた場合には、0.45±0.21mmと大きな歯液移動量を示した。この事から、直接充填したレジンの重合収縮にり、ボンディング剤で補強された象牙質層とその上部のコンポジットレジン、あるいは、ボンディング剤で補強された象牙質層とその下層の正常象牙質の何れかの部位に間隙が発生している可能性が考えられる。従って、現在、これら歯牙の縦断面のレプリカを作製し、SEMにより、窩底部における間隙の発生やその状態を観察中である。
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