1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05671622
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
山下 敦 岡山大学, 歯学部, 教授 (00066995)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 誠 岡山大学, 歯学部・附属病院, 講師 (20223315)
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Keywords | 少数歯欠損補綴法 / 形状記憶合金 / Ti-Ni合金 / ポンティック維持固定装置 / ピン |
Research Abstract |
健全な隣在歯をもつ少数歯欠損に対して,接着ブリッジより歯質削除量が少なくかつ十分な機能を発揮する形状記憶合金を用いた新しい少数歯欠損補綴法の開発を試みた結果,操作性が良く,維持力が高い形状記憶合金を用いたポンティック維持固定装置の試料が完成した. 形状記憶合金であるTi-Ni合金は温度に敏感であるため,オートグラフに装着した恒温装置(一部科学研究費にて購入)を用いて,Af点の違いが維持力に及ぼす影響ならびに形態の違いが維持力に及ぼす影響について検討を加え,下記の知見を得た. 1.Af点の違いが維持力に及ぼす影響:口腔内で十分な形状記憶効果を発揮し,優れた維持力を得るためには,室温の影響を受けるため,Af点の温度設定に自由度があまりないことが判明した.したがって,今回の試料は,これらの条件を満たす42℃に設定した. 2.形態の違いが維持力に及ぼす影響:様々な形態の試料について検討を行った結果,設計時に維持力が高いと推測される形態でも,加工による形態付与時ならびにピンホール形成時の困難さから設計にある程度の制限を受けることが明らかとなった.以上より,ピンの維持力は規格化した穴に対して適合の良いピンを挿入し,かつ形状記憶効果を発揮することにより如何に維持効果を生じさせるかにあることが判明した.したがって,挿入時には径0.9mmで,挿入後形状回復させることにより維持力が増大する試料を開発した. 以上のことから,今回一応の試料は,いまだ検討の余地を残すものの,新しい少数歯欠損補綴法として,その維持力に関して十分有効であることが示唆された.今後,さらに強力な維持力を発揮する形態及び臨床操作性について,検討を重ねていく予定である.
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