1993 Fiscal Year Annual Research Report
歯科用合金のアレルゲンとしての安全性に関する検討-金属アレルギーの原因と疑われる金属修復物の口内電位と唾液中のイオン溶出について-
Project/Area Number |
05671631
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
古川 良俊 岩手医科大学, 歯学部, 講師 (40156956)
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Keywords | 歯科用合金 / 金属アレルギー / 機能時口腔内電位 / イオン溶出 |
Research Abstract |
歯科用合金に起因したと推察される、アレルギー性疾患の発症機序を解明することを目的として、アレルギー感作率の高い、ニッケル、クロム、コバルトを主成分とする合金で実験用全部鋳造冠を製作し、金属イオン溶出の指標となる金属表面の電位を、口腔内で機能的条件下に測定した。また、比較対象として、アレルギー感作率の低い銀、金を主成分とする合金についても同様に測定した。測定条件は、安静状態、側方滑走状態、酸性飲料(pH3.75)含口状態について、口腔粘膜に設置した炭素棒を接地電極として、鋳造冠との電位差をマルチロガーで自動計測した。安静状態では、ニッケル-クロム合金209.4mV、コバルト-クロム合金216.5mV、銀合金209.6mV、12%金銀パラジウム合金135.0mV、金合金94.1mVの電位差が認められた。側方滑走状態では、ニッケル-クロム合金226.3mV、コバルト-クロム合金233.8mV、銀合金233.5mV、12%金銀パラジウム合金131.5mV、金合金132.0mVの電位差が認められた。酸性飲料の含口状態では、ニッケル-クロム合金311.8mV、コバルト-クロム合金388.1mV、銀合金316.1mV、12%金銀パラジウム合金238.4mV、金合金226.2mVの電位差が認められた。 以上の結果より、従来の研究と同様にイオン化傾向の高いコバルト、ニッケル、クロム、銀を主成分とする合金は口内電位差も大きく、イオンの溶出の容易さを示すものと考えられた。さらに、安静状態より側方滑走状態で電位の微増傾向が認められ、また酸性飲料含口状態での電位は、実験した5種の歯科用合金のすべてにおいて著しく大きくなる傾向が認められ、口腔内における機能状態での金属イオン濃度検索の必要性が示唆された。
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