1993 Fiscal Year Annual Research Report
歯質接着性ボンディング材の開発:特に、酸処理なしの象牙質接着システムの検討
Project/Area Number |
05671632
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
新井 浩一 明海大学, 歯学部, 助教授 (90049396)
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Keywords | 光重合型コンポジットレジン / デンチンプライマー / ボンディング材 / 象牙質接着 |
Research Abstract |
本研究の目的は、根面う蝕や歯頸部う蝕などの治療に対して、従来のリン酸などの酸処理を施さなくても象牙質と接着するボンディングシステムを開発し、その接着メカニズムを解明することである。 そこで、本年度は、デンチンプライマーとして、2-ヒドロキシエチルメタクリレート60重両部・蒸留水40重量部のプライマー(Aプライマー)、Aプライマーに50種のアミノ酸0.5モル%それぞれ添加したプライマー(Bプライマー)およびBプライマーに合成したカルボキシル基を有するモノマー(NMRとIRで確認)10重量部を添加したプライマー(Cプライマー)の計101種を試作した。また、比較対照として、37%リン酸水溶液、10%クエン酸・3%塩化第2鉄溶液および10%クエン酸・20%塩化カルシウム溶液の合計104種を用いて、抜去牛歯牙傷質面にそれぞれ30秒間処理し、エアーブローで乾燥後、レプリカにてSEM観察を行った。その結果、SEM観察では、比較対照群の場合、いずれも試料作製時の耐水ペーパー600番の研磨により生じたスミヤー層は除去されていたのに対して、試作Aプライマーと50種のBプライマーは、いずれも研磨に生成した条痕が観察され、スミヤー層が残存していた。また、Cプライマーは、ほとんどの場合、象牙細管内がキャッピナングされ、管間象牙質が露出していた。一方、IR分析では、未処理象牙質は、1656cm^<-1>にコラーゲンのカルボニル基、1035 601と585cm^<-1>に無機質成分のリン酸カルシムウのピークを示した。1656cm^<-1>にコラーゲンのカルボニル基に対する、1035cm^<-1>のリン酸基のピーク比は、すべての試作プライマーの場合、未処理象牙質とほとんど同じであったのに対し、比較対照群はかなり低下していた。このことは、前者が後者よりも、無機質成分の脱灰がほとんどなく、変質が少ないことを示唆している。今後、接着試験により優れたCプライマーを見出したい。
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