1993 Fiscal Year Annual Research Report
抗生物質の食細胞系生体防御能に及ぼす基礎的・臨床的研究
Project/Area Number |
05671653
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
福井 朗 弘前大学, 医学部, 助手 (70241479)
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Keywords | 抗生物質 / 生体防御能 / 好中球 / 活性酸素 / スーパーオキシド / CLA依存性化学発光 |
Research Abstract |
1),各種抗生物質のヒト好中球の活性酸素産生能に及ぼす影響に関する研究では,健常人末梢静脈血より分離採取した好中球を試料とし、CLA依存性化学発光法を用い,オプソニン化ザイモザン(OZ),PMA刺激によるスーパーオキシド(O_2^<・->)産生を測定し,最大発光量を好中球活性酸素産生能として検討を行なった. アミノグリコシド系抗生物質硫酸ネチルマイシン(NTL),硫酸イセパマイシン(ISP),トプラマイシン(TOB)について追試を行なった結果,いずれの抗生物質とも好中球活性酸素産生能を濃度依存性に増強し,その効果の強さはNTL〉ISP〉TOBの順であった.また,いずれの抗生物質ともin vitroにおける活性酸素生成系{ヒポキサンチン-キサンチンオキシダーゼ(HX-HOD)反応系,Fenton反応系}には影響を及ぼさなかった.また,モノバクタム系抗生物質アザクタムではこの効果は認められず,ニューキノロン系抗生物質フレロキサシンは好中球活性酸素産生能を濃度依存性に増強したが,HX-XOD反応系におけるO_2^<・->生成をも高濃度において増強した.更に,セファロスポリン系抗生物質フロモキセフは一定以上の濃度においては,OZ刺激におけるO_2^<・->産生を増強したが,PMA刺激におけるO_2^<・->産生には影響を及ぼさなかった. 以上のことより,好中球活性酸素産生能の増強効果を有する抗生物質では各々作用機序が異なる場合があることが示唆された.今後この点を含め,更に検討を行なう必要があると考えられた. 2),口腔癌患者,顎口腔領域の感染症患者の好中球活性酸素産生能を測定し,口腔癌患者15人中10人に活性酸素産生能の低下が認められ,下顎骨骨髄炎患者についても同様の結果が得られた.現在,免疫機能との関連について検討中である.
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