1995 Fiscal Year Annual Research Report
抗生物質の食細胞系生体防御能に及ぼす基礎的・臨床的研究
Project/Area Number |
05671653
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Research Institution | HIROSAKI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
福井 朗 弘前大学, 医学部, 助手 (70241479)
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Keywords | 抗生物質 / 好中球 / スーパーオキシド / 一次的生体防御能 |
Research Abstract |
1)10種類の抗生物質を用いて好中球のスーパーオキシド(O_2^<・->)産生能に対する抗生物質の影響について,検討した結果,O_2^<・->産生増強効果を有する抗生物質はOZ(オプソニン化ザイモザン)刺激では7種類,PMA刺激の場合は6種類であった.さらに,In vitroにおいて,ハイポキサンチン-キサンチンオキシダーゼ反応系におけるO_2^<・->生成に対し増強効果を示した抗生物質は3種類,抑制効果を示した抗生物質は2種類であった.しかしながら,今回用いた10種類の抗生物質はいずれもフェントン反応系におけるヒドロキシルラジカルの生成に影響を及ぼさなかった. 2)各種口腔癌患者ならびに顎口腔領域の感染症として下顎骨骨髄炎患者の好中球のO_2^<・->産生能をCLA依存性化学発光法を用いて測定し,最大発光強度(MaxCL;cpm×10^<-4>)により比較検討した結果,OZ刺激:健常人20.9±0.95(Mean±SE ; n=35),放射線性下顎骨骨髄炎患者12.43±1.79(n=15),慢性下顎骨骨髄炎患者15.73±1.73(n=15),口腔癌患者16.54±0.86(n=21),PMA刺激:健常人35.39±1.58(n=35),放射線性下顎骨骨髄炎患者18.17±1.53(n=19),慢性下顎骨骨髄炎患者19.70±2.36(n=16),口腔癌患者20.21±1.28(n=31)といずれも健常人より低値を示した.また,口腔癌患者において,MRSAに感染していた患者のMaxCLはOZ刺激16.4±1.18(n=9),PMA刺激18.32±1.24(n=15),感染していない患者のMaxCLは各々16.151(n=12),22.15±2.21(n=16)であり,MRSA感染症の発症因子の一つとして好中球のO_2^<・->産生能の低下が示唆された. 3)以上より,一次的生体防御能の指標としての好中球O_2^<・->産生能測定の有用性が示唆された.また,抗生物質の選択と投与の基準に,好中球との協同的抗菌作用を補助的因子として用いる必要があると考えられた.
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