1993 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者に対する印象採得や咬合採取等が換気、循環応答に与える影響-在宅診療を想定して-
Project/Area Number |
05671656
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
猪狩 俊郎 東北大学, 歯学部, 助手 (10142994)
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Keywords | 在宅歯科診療 / モニター |
Research Abstract |
本研究は高齢者患者に対して行なわれる在宅診療を想定して、印象採得、咬合採得が呼吸循環応答に与える影響を、室内空気吸入時、30%笑気70%酸素吸入時(以下鎮静時)に分け、循環応答としてはトノメトリー法による連続的した血圧・脈拍の変化をフーリエ解析によって、また呼吸応答としては鼻カニューレを用いて呼気終末炭酸ガス濃度・呼吸数を測定し、抜歯等の観血処置時との相違を比較検討した。 結果:有志健常成人と在宅高齢者において検討したところ、印象採得時の呼吸器系の変化では、いずれの場合においても呼吸数の一時的減少傾向が認められたがその後は安定し、さらには在宅高齢者では増大傾向を見、健常者では安定傾向が続いた。なお呼吸深さに関してはいずれも増大を見た。しかしその変化は鎮静時に少なく、在宅高齢者で大きかった。呼気終末炭酸ガス濃度では、大きな変化はなかったものの、4割以上の在宅高齢者で炭酸ガス濃度曲線の低下を認めた事から、在宅高齢者では指示通りに鼻呼吸を維持できない傾向が窺われ、分泌物あるいは余剰印象剤の咽頭部への流入が懸念された。 また循環器系の変化ではトレー挿入時に血圧脈拍上昇を認める傾向があったが、健常成人ではその変化は在宅高齢者に比べて少なく、また、鎮静時にはより少なかった。特に在宅高齢者に於いては、その変化率は個人差が大きく、トレー挿入時にセンサー装着部の手を握りしめたり、不用意な動作を行う事から的確な資料を得難い傾向があったことから充分な比較資料が整わなかった。この原因として在宅高齢者が健常者以上に緊張するためと考えられた。
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