1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05671657
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
柴田 考典 山形大学, 医学部, 助教授 (60147220)
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Keywords | 顎関節疾患 / 顎関節円板 / 関節円板病態 / 異所性石灰化 / 三次元構築 / 変形性顎関節症 / 関節円板前方転位 |
Research Abstract |
顎関節円板は何らかの原因により前方に転位し、その結果開口などの顎運動に伴う応力を受け組織硬化、軟骨化生、石灰化などをきたすことが臨床的に知られている。しかし転位した関節円板における形態学的および病理学的変化の詳細については不明の点が多い。とくに関節円板のどの部分にどのような変形・変性が生じているかについて三次元的に検索した研究はない。 そこで本研究では、剖検屍体から剖出したヒト関節円板標本について、軟エックス線撮影による円板石灰化部の描出、連続切片による病理組織学的観察により、関節円板における変形・変性病態を三次元的に解析し、それらの立体的再構築を行う。 まず平成5年度は、山形大学医学部解剖学第1講座の協力を得て、学生実習屍体より141側の下顎頭・顎関節円板複合体を一塊として摘出し研究対象とした。それらの関節円板について、まず関節円板の位置、表面性状、菲薄部ないし穿孔、下顎頭との癒着について肉眼的に観察した。ついで関節円板を前中後、内中外の9ヵ所の部位に分け、それぞれの厚径を計測した。さらに関節円板を展開し軟エックス線写真を撮影し、石灰化の有無を観察した。 結果:1)関節円板の位置不明3関節を除く138関節中90関節(65.2%)に転位が見られ、その方向は89関節で前方、1関節で後方であった。2)関節円板表面に皺壁形成、粗造および毛羽立ちが41円板(29.1%)に見られた。3)関節円板の菲薄部は24円板(17%)に認められ、外側中央部に多かった。穿孔は円板部に31件、円板後部結合組織に18件にみられ、いずれかに穿孔がみられたのは41円板(29.1%)であった。4)関節円板と下顎頭との癒着は30関節(21.3%)に認められ、内側中央部が多かった。5)関節円板の厚径は、平均で後方肥厚部が約3mm、中央狭窄部が約1mm、前方肥厚部が約2mmであった。7)軟エックス線写真において石灰化がみられた円板は11(7.8%)であった。
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