1994 Fiscal Year Annual Research Report
口唇裂口蓋裂児の鼻咽腔閉鎖機能の獲得に関する研究-手術法による機能獲得過程の比較-
Project/Area Number |
05671665
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
中野 久 新潟大学, 歯学部・付属病院, 講師 (60180329)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
磯野 信策 新潟大学, 歯学部・付属病院, 助手 (10168289)
小野 和宏 新潟大学, 歯学部, 助手 (40224266)
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Keywords | 口唇裂口蓋裂 / 鼻咽腔閉鎖機能 / 手術法 / 機能獲得過程 / X線テレビ / 鼻咽腔ファイバースコープ / 超音波検査 / ナゾメーター |
Research Abstract |
1)術前の口蓋裂病態の評価;口唇裂口蓋裂児の術前の口蓋裂病態の評価を、A口腔内視診 B頭部X線規格写真 C超音波所見から行なった。軟口蓋の筋層の発育状態と運動機能には関連性が認められ、咽頭側壁運動においても軟口蓋の運動性との関連が認められた。口蓋裂単独例と唇顎口蓋裂における軟口蓋および咽頭側壁の運動性の相違について検討中である。 2)口蓋形成術後の鼻咽腔閉鎖機能の経時的変化および獲得過程について;口蓋弁後方移動術(push back法)、Widmaier法、Furlow法による3種の口蓋形成手術後の鼻咽腔閉鎖機能について分析した。 A Widmaier法 唇顎口蓋裂児26名について前年度に引き続き術後鼻咽腔閉鎖機能獲得過程を口腔内視診、X線テレビ、鼻咽腔ファイバースコープ、超音波検査により検討した結果、平均1歳6か月時の口蓋形成後、3歳までに軟口蓋運動による閉鎖機能が改善されるが、母音ではほぼ機能獲得が得られる症例が多いが、子音ブロ-イングでは不完全なものが多く、5歳まで運動性の改善が認められた。十分な閉鎖機能の獲得は本手術法では4-5歳と考えられ、これには咽頭側壁運動の変化も関与している。 B Furlow法 口蓋裂20例、粘膜下口蓋裂8例、唇顎口蓋裂3例についた術後の鼻咽腔閉鎖機能の評価をAと同様に行なった。機能獲得は3歳までにほぼ得られていたが、軟口蓋運動のみでなく、咽頭側壁運動の改善により閉鎖機能が得られた症例もあり、獲得過程についてさらに分析検討が必要である。本方法を施行した2次症例4例の術後評価を追加すると、施行後3-6か月まで軟口蓋の運動性が改善する過程が確認された。 3)口蓋形成術後の音声言語の評価;言語判定可能な4歳から6歳にいたった症例について検討中であり、現在手術法による比較検討結果は得られていない。
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[Publications] 小野和宏 他2名: "Furlow法による口蓋形成術 第1報:手術経験について" 日口外誌. 41-3. (1995)
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[Publications] 小野和宏 他3名: "Furlow法による口蓋形成術 第2報:鼻咽腔閉鎖機能ならびに顎発音への影響について" 日口外誌. 41-3. (1995)
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[Publications] 磯野信策 他2名: "発音の基礎知識(3)吃音の症状とその治療について" Dental Diamond. 19. 64-65 (1994)