1993 Fiscal Year Annual Research Report
ラット発癌モデルを用いた口腔癌発生過程のモノクローナル抗体による経時的解析
Project/Area Number |
05671670
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
篠崎 文彦 山口大学, 医学部, 教授 (90045443)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤倉 義久 山口大学, 医学部, 助教授 (10165368)
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Keywords | Squamous cell carcinoma / Monoclonal antibody / Immunohistochemistry / UB-17 / FF6 |
Research Abstract |
1.われわれが既に得ている、DA系ラット頬部に自然発生した扁平上皮癌FF6組織に対し、数多くの抗体を用いて免疫組織化学染色を行い、その特徴を検索し、Histology and Histopathologyに報告した。 2.FF6腫瘍を抗原とし、作製したモノクローナル抗体UB-17を用いてFF6腫瘍組織、ラット正常組織、およびヒト口腔腫瘍組織との交叉反応性を免疫組織化学的に検索し、UB-17抗体は抗ラット扁平上皮癌抗体であるにもかかわらず、ヒト扁平上皮癌組織、および正常ヒト重層扁平上皮に反応し、その反応は基底細胞層から有棘細胞層の一部にかけての細胞膜に沿って強く発現した。また、本年度補助金にて購入した免疫電顕用樹脂紫外線重合装置を用いて組織を処理し、電子顕微鏡を用いて観察することにより、その反応部位をさらに詳しく解析した。 UB-17抗体と、抗ケラチン抗体または抗ラミニン抗体との二重染色を高分化型ヒト歯肉癌組織に対し行ったところ、UB-17抗体は、細胞膜に沿った反応であるのに対し、抗ケラチン、抗ラミニン抗体ともに、細胞質に対する反応であった。また、高分化型ヒト舌癌に対し、抗TA-4抗体との二重染色を行ったが、UB-17は上記の反応を示したのに対し、抗TA-4抗体は角化層および癌真珠の細胞質に強い反応があらわれ、これらの抗体の認識する抗原と、UB-17抗体の認識する抗原の発現部位と発現形式にはあきらかな差異を認めた。 3.FF6腫瘍を遊離細胞化しUB-17抗体と反応させ、フローサイトメトリーにてその反応性を検索した結果、多くの陽性反応が大型で表面がやや粗造な細胞群に発現していることが認められた。 4.ラットに対する発癌実験を行っているが、現在までに満足な結果が得られず、並行してFF6腫瘍組織およびUB-17抗体の性状についての解析を行っている。
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