1993 Fiscal Year Annual Research Report
ポイソメラーゼII阻害剤エトポシドによるヒト唾液腺癌細胞の分化誘導とアポトーシス
Project/Area Number |
05671672
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
吉田 秀夫 徳島大学, 歯学部, 助教授 (30116131)
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Keywords | トポイソメラーゼII阻害剤 / エトポシド / 細胞分化誘導 / アポトーシス / ヒト唾液腺癌細胞 / 細胞増殖抑制 |
Research Abstract |
HSG細胞の増殖に及ぼすエトポシドの影響を検討した結果、0.05〜0.5μMのエトポシド処理HSG細胞の増殖は有意に抑制された。HSG細胞のanchorage-independent growthとanchorage-dependent growthに与えるエトポシドの影響を検討するために、軟寒天中及びプラスチック面でのコロニー形成率を測定した結果、未処理HSG細胞に比しエトポシド処理群では統計学的に有意なコロニー形成能の抑制を認めた。 0.3μMエトポシドを含む増殖培養液で培養したHSG細胞の形態は、未処理HSG細胞が多角形で敷石状の配列を示すのに対し、48時間後に巨大化した細胞が出現し、一部紡錘形のへの形態変化が認められた。96時間後には細胞の形態が紡錘形のものに加えて星状形を示す細胞も出現し、多核細胞も見られた。エトポシド処理HSG細胞について、各種細胞骨格蛋白の発現を間接蛍光抗体法及びImmunoblotting法にて検索した結果、デスミンは、エトポシド処理HSG細胞で発現の増強が認められた。α-平滑筋アクチンの発現は未処理HSG細胞では検出することができなかったのに対して、エトポシド処理HSG細胞ではα-平滑筋アクチンの発現を認めた。エトポシド処理HSG細胞の超微構造を観察すると、細胞質内には未処理HSG細胞では認めない7nm径、12nm径の2種類のミクロフィラメントの存在が認められ、一部ではミクロフィラメント束を形成し、細胞質のところどころに電子密度の高い暗調野が存在しているのが観察された。また、エトポシド処理細胞にヘキスト33258蛍光染色を行ったところ、細胞のアポトーシスに特徴的な核の断片化が観察され、細胞より調整したDNAの電気泳動パターンではDNAラダーが認められた。 以上より、エトポシドは低濃度でHSG細胞を平滑筋細胞に近似した細胞に変換し、細胞の増殖と造腫瘍性が低下すること。高濃度での抗腫瘍効果は細胞のアポトーシスによることが示唆された。
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Research Products
(1 results)