1994 Fiscal Year Annual Research Report
口腔粘膜前癌病変における遺伝子発現と癌化に関する組織化学的研究
Project/Area Number |
05671677
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Research Institution | Miyazaki Medical College |
Principal Investigator |
芝 良祐 宮崎医科大学, 医学部, 教授 (00029977)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西森 利數 宮崎医科大学, 医学部, 教授 (20112211)
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Keywords | Fosタンパク質 / Junタンパク質 / 前癌病変 / 扁平上皮癌 / 癌化 / 口腔粘膜 / 免疫組織化学 / 抗原賦活法 |
Research Abstract |
49症例の各種口腔粘膜疾患由来の組織(各種前癌病変、高分化型および中等度分化型扁平上皮癌および非腫瘍性上皮組織)のパラフィン切片を用いて、c-Fosとc-Junポリクローナル抗体による免疫組織化学を行い、癌化とこれらの抗原の発現との関連について検討した。さらに、抗原を賦活するためにオートクレーブとマイクロウェーブを用い、これらの抗体による検出感度を上げる試みを行った。その結果、以下のような事実が明らかとなった。 1.抗原賦活前では、どの組織からもc-Fosまたはc-Jun陽性細胞を検出できなかったが、抗原賦活後には、多くの組織において陽性細胞を認めることができた。また、オートクレーブ処理の方がマイクロウェーブ処理よりも陽性細胞数が多く、かつ陽性反応も強かった。しかし、陽性細胞の分布に関しては、これらの前処理間で大きな違いは認められなかった。 2.非腫瘍性上皮組織では顆粒層に近い有棘層にc-Fosとc-Jun陽性細胞が多く見られ、これらの組織内分布はほぼ一致したが、前癌病変や癌病変では両者の分布が一致しない症例が多かった。 3.各疾患群別に、c-Fosとc-Jun陽性細胞の発現の程度を比較すると、非腫瘍性上皮組織群>前癌病変群>高分化型扁平上皮癌群>中等度分化型扁平上皮癌群の順に、陽性率が高く、陽性細胞数が多く、陽性細胞の分布の範囲が広く、反応性も強かった。特に、c-Junの発現の仕方に関して上記の傾向が強くが認められた。この結果は、癌化に伴ってc-Fosとc-Junの発現が抑制されることを示し、c-Fosまたはc-Junの発現の変化は癌化や癌の悪性度の評価に対応することが示唆された。
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