1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05671680
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
宮川 明 札幌医科大学, 医学部, 講師 (70166122)
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Keywords | 口腔粘膜癌 / 潜在性頚部リンパ節転移 / 臨床的、組織学的要因 / 転移の予測性 |
Research Abstract |
臨床的に頸部リンパ節転移を認めないNO症例の口腔粘膜癌1次症例141例を対象に、潜在性頸部リンパ節転移に関与する臨床的、組織学的要因を検索し、さらに転移関連因子を計量的に解析することによって潜在性転移の予測性を求め、以下の結果を得た。1.潜在性リンパ節転移(pN+)の頻度は18.4%(26/141)で転移を認めなかったN-115例の5年累積生存率が93.7%であったのに対し、pN+26例では44.1%と予後は極めて不良であった(p<0.001)。 組織学的悪性度が10点以上の症例は10点未満の症例に比べ、推計学的に有意に転移陽性例が多く、特に、14点以上の高悪性症例では、陽性率76.9%と著しく高値であった。3.NO郭清例と後発転移例の頸部リンパ節の転移様相では、後発転移例が転移リンパ節3個以上で、30mm以上の大きいリンパ節が多く、さらに節外型を示す症例が多く認められた。4.潜在性頸部リンパ節転移の有無と原発巣の臨床、組織学的所見との関係について、数量化理論第II類による計量的解析では、潜在性リンパ節転移の有無に寄与する最も大きな転移関連因子は癌浸潤様式(山本・小浜分類)であり、次いで原発部位、腫瘍の大きさ、分化度の順であった。5.転移関連因子の判別分析を行い90.1%の的中率で潜在性リンパ節転移の予測が可能であった。6.潜在性頸部リンパ節転移を有する症例の臨床的特徴は、舌、口底で腫瘍径が3cm以上、内向型であり、組織学的には組織学的悪性度10点以上、低分化型、核分裂像:多、癌浸潤様式4C・4D型であった。以上のごとく、部位では舌、口底、臨床知見では大きさと内向発育型、組織学的には高悪性度の所見が転移形成に高い確率で関与していることから、これらの所見は潜在性リンパ節転移症例の治療法選択の客観的診断基準を設定する上で有用な所見となり得ることが示された。
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Research Products
(1 results)