1995 Fiscal Year Annual Research Report
口腔腫瘍におけるがん遺伝子変異およびがん遺伝子産物の発現の検索と臨床への応用
Project/Area Number |
05671690
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Research Institution | NIHON UNIVERSITY |
Principal Investigator |
草間 薫 日本大学, 歯学部, 講師 (20130479)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小田 泰之 日本大学, 歯学部, 助手 (60214144)
工藤 逸郎 日本大学, 歯学部, 教授 (90059147)
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Keywords | がん遺伝子 / がん遺伝子産物 / 遺伝子変異 / 口腔癌 / 扁平上皮癌 / ras gene / c-erbB1 / c-erbB2 |
Research Abstract |
扁平上皮癌を含む各種口腔粘膜病変におけるras p21,EGFRおよびc-erbB2蛋白の発現について免疫組織学的に検索したところ正常口腔粘膜上皮,白板症と比較して扁平上皮癌の組織においてras p21,およびEGFRの発現の亢進が考えられた。c-erbB2蛋白の発現に関しては一部の癌症例において陽性所見を認めるのみであった。そこでこれらの蛋白をコードする遺伝子の変異について分子生物学的手法を用いて検索したところ,ras遺伝子に関しては制限酵素Msp IによるRFLPsを利用した方法では扁平上皮癌症例の一部にH-ras遺伝子のcodon12に点突然変異が想定されたが,direct sequence法およびSSCP法の結果からはいずれの癌症例においてもH-ras,K-ras遺伝子とも点突然変異は認められなかった。c-erbB1に関してはSouthern hybridization法により扁平上皮癌症例の30%において増幅を認めた。これらの症例はすべてStage Iであり,c-erbB1の遺伝子変異は口腔の扁平上皮癌の早期に関する可能性が示唆された。唾液腺腫瘍における免疫組織学的検索では多形性腺腫,腺様嚢胞癌および粘表皮癌いずれの症例においてもras p21に対する強い陽性反応を認めた。また,腺様嚢胞癌ではEGFRよりもc-erbB2蛋白の発現の亢進が考えられた。遺伝子変異に関する検索では多形性腺腫においてTGGE法でK-ras遺伝子の変異が考えられたが,腺様嚢胞癌におけるc-erbB1ならびにc-erbB2の増幅はSouthern hybridization法により認められなかった。これらの結果に加えて,扁平上皮癌を含む各種口腔粘膜病変におけるp53蛋白の発現およびp53遺伝子の変異について検索したところ,重度の上皮異形成および扁平上皮癌の3分の1の症例で異常発現および遺伝子変異が考えられ,dysplasia-carcinoma sequenceの早期においてp53遺伝子の変異が関係することが示された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 武田秋生: "口腔領域の悪性腫瘍におけるEGFR,c-erbB-2蛋白およびそれらの遺伝子に関する研究" 日大歯学. 69. 434-446 (1995)
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[Publications] Kusama K.: "p53 gene alterations and p53 protein in oral epithelial dysplasia and squamous cell carcinoma" J. Pathol.178(in press). (1996)
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[Publications] Kusama K.: "Oral Oncology Vol. IV B" Varma A. K., Mori M., Macmillan India Ltd, 4 (1995)
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[Publications] Kusama K.: "Advances in Mucosal Immunology" Mesteckey J. et al., Plenum Press, 4 (1995)