1993 Fiscal Year Annual Research Report
精神鎮静法における鎮静深度モニターとしての脳波解析について
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05671691
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
高杉 嘉弘 日本歯科大学, 歯学部, 講師 (90120683)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鹿島 雅彦 日本歯科大学, 歯学部, 研究員 (20247026)
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Keywords | 精神鎮静法 / 脳波 / 笑気 / benzodiazepine / median EEG / パワースペクトル |
Research Abstract |
平成5年度の研究計画の主眼は、低濃度笑気吸入ならびにdiazepam静脈内投与時のEEG変化を捉えることであった。研究方法は、前額部誘導により導出したEEGを増幅、A/Dコンバータを介してコンピュータに入力した。EEGデータはon lineにおいて0.5〜32〓でのフーリエ解析後、パワーを求め、ディスプレイ上にx軸を周波数、y軸を時間、z軸をパワーとしたパワースペクトルアレイを描画させた。EEGデータはビデオカメラの音声入力に記録、同時に撮影した顔貌変化とともに記録した。さらにoff lineにおいて、パワースペクトルデータからmedian EEGを算出し、このEEGの経時的変化を捉え、EEG変化と生体変化を比較検討できるシステムを構築した。 このシステムを用いたパワースペクトルにおよぼす影響は、低濃度笑気吸入では、対照において計測に用いた周波数帯域全域において高いパワーがみられたのに対し、20%程度の吸入では低周波数帯域でのパワーの増加が生じ、30%程度では全帯域でのパワー低下、とくにbeta領域での著しい低下が認められた。また、diazepamでは投与後に全体としてのパワーの低下とともに、alpha律動の増加とbenzodiazepineに特有なbeta領域の増高が認められ、笑気、diazepamのいずれにおいても血中濃度依存性と考えられる脳波変化を認めた。 Median EEGの変化の傾向は、対照で10〜12〓であり、就眠に至らない笑気、diazepam投与において6〓程度まで低下することが観察された。しかし、本研究は臨床でのデータサンプリングを想定しているため、眼球運動、瞬きなどに影響されないデータ処理設定を行う必要がある。これらによるアーチファクトがとくに0〜2〓の大きなパワーを生じ、通常行われる0.5〜32〓の分析ではmedian EEGが過小に、benzodiazepineに特有なbeta波は過大評価の原因となるため、アーチファクトの影響を受けにくい新たなmedian EEG算出に用いる周波数帯域の設定について現在検討している。
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