1994 Fiscal Year Annual Research Report
顎顔面変形症例に対する形態面および機能面からの総合的診断法の開発
Project/Area Number |
05671699
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
友近 晃 北海道大学, 歯学部, 助手 (20241341)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 直行 北海道大学, 歯学部附属病院, 助手 (40261317)
山本 隆昭 北海道大学, 歯学部, 助手 (40230560)
石川 博之 北海道大学, 歯学部附属病院, 講師 (20184492)
今井 徹 北海道大学, 歯学部, 助教授 (40160030)
中村 進治 北海道大学, 歯学部, 教授 (80001791)
|
Keywords | 3DCT / Facial Asymmetry / Mandibular Morphology / Asymmetry Index / 唇顎口蓋裂 / 咬筋筋活動量 / 多チャンネル筋電図分析システム / 咬合安定指数 |
Research Abstract |
形態面の研究としてはまず,過年度に開発した3DCTを用いた三次元形態計測の手法を用い,臨床的に顔面非対称の認められない成人10名の下顎骨に対する検討を行った。これによると,正常者では,下顎骨の形態に左右差は認められるものの,その左右差は小さかった。さらに,これら正常者の非対称度に基づくAsymmetry Indexを考案し,これを用いて顔面非対称者としてHemifacial Microsomia5名(HFM群)および骨格性交叉咬合5名(SKL群)について検討を行った。これによると,HFM群では下顎骨全体にわたって非対称が認められ,左右差も大きかったが,SKL群では比較的非対称の認められる部位が限定しており,左右差も小さかった。すなわち本法により,下顎骨形態に関連した顔面非対称の成因の違いを明確に把握することが可能となった。 機能面の研究としては,18ch(片側9ch)の多チャンネル筋電図分析システムと新たに考案した咬合安定指数を用い,唇顎口蓋裂者において咬合状態が咬筋筋活動量に与える影響を検討した。これによると,上顎歯列弓の狭窄を伴わない唇顎口蓋裂者では咬筋筋活動量と咬合安定指数は正常者とほぼ同程度であったが,上顎歯列弓の狭窄を伴う唇顎口蓋裂者では非狭窄者や正常者に比して咬筋筋活動量,咬合安定指数ともに著しく低く,左右差も大きかった。また,咬筋筋活動量と咬合安定指数とには,強い正の相関が認められた。そこで,唇顎口蓋裂者のうち上顎歯列弓の狭窄を伴うものにスプリントを装着させ,咬合状態を安定させた結果,咬筋筋活動量が増加し,左右差も著明に減少することが解明された。 以上のように当講座で開発した顎顔面変形症例に対する新しい分析方法は,形態面,機能面それぞれにおいて臨床応用に至っており,今後はこれらの関連について研究を勧め,総合的な診断法を確立して行く予定である。
|