1993 Fiscal Year Annual Research Report
DNAフィンガープリント法によるミュータンス連鎖球菌の家族内伝播の解明
Project/Area Number |
05671711
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
香西 克之 広島大学, 歯学部・附属病院, 講師 (10178212)
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Keywords | 齲蝕 / ミュータンスレンサ球菌 / 家族内伝播 / DNAフィンガープリント |
Research Abstract |
mutans Streptococciの採取はこれまで5家族20人分を行い,その中のDNAフィンガープリントを行ったうち,複数のmutans Streptococciを持つ被験者が多くいる家族を特に調べてみた。その理由は,一株しか持たない構成員の多い家族では,mutans Streptococciの伝播経路が解明しにくいことが考えられるからである。その結果,子供の持っているmutans Streptococci株の少なくとも一株は,母親の持つmutans Streptococci株のDNAパターンと一致しており,父親の持っているmutans Streptococciとは一致していない例が多かった。また,当初一人当り30株のmutans Streptococciを調べる予定であったが,20株を確保できれば,十分DNA分析可能であることがわかった。また,複数株を検出した家族において,伝播の優位となる因子として歯面への付着能を調べているが現在のところ,特徴的な知見は得られていない。 以上のように,mutans Streptococciの伝播は,母親から経由する可能性が高いことが示唆されるが,例数が少ないため,今後さらに,N数を増やしていく必要がある。DNAフィンガープリントをより多数で能率的に行うために,パルスフィールド電気泳動を試みているが,泳動時間や緩衝液の条件設定を予備実験中であり,この点の問題解決を現在検討している。現時点では従来のサブマリン型電気泳動法との併用でDNA分析を行っている。mutans Streptococciの菌株採取に関しては現在問題なく,さらに被験者を増やす予定である。
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