1993 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者に対する歯科医療対策 唾液分泌量減少による口腔内環境および咀嚼能率の変化
Project/Area Number |
05671719
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
渡部 茂 北海道医療大学, 歯学部, 助教授 (60113049)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
五十嵐 清治 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (20001943)
上田 正彦 北海道医療大学, 歯学部, 助手 (80244846)
塚本 智明 北海道医療大学, 歯学部, 助手 (30244867)
浅香 めぐみ 北海道医療大学, 歯学部, 助手 (10167877)
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Keywords | 咀嚼能率 / 唾液分泌量 / 食塊水分量 |
Research Abstract |
高齢者に多く見られる口腔乾燥症に対する歯科的な対策として本年度は、硫酸アトロピン服用による実験的唾液分泌量減少下での食物咀嚼能率について検討を行なった。 成人男子6名を対象に、ライス、ソーセージ、クッキーを咀嚼試料とし、チューイングスピット法を用いて咀嚼実験を行ない、正常時と唾液分泌量減少時の一口量咀嚼時間、嚥下時食塊水分量を比較した。硫酸アトロピンは一回0.5mgを服用し、約60分後に最低値(約50%減)を示したことから、分泌量減少時の咀嚼実験は服用60分後に行なった。その結果、正常時の一口量、一口量咀嚼時間、および嚥下時食塊水分量は、同一被験者、試料では変動が少なく、ほぼ一定した値が得られた。なお、被験者間および試料間には大きな差が見られた。硫酸アトロピン服用60分後の一口量咀嚼時間は、各咀嚼試料とも服用前に比較して有意な延長が認められた。しかし、嚥下時食塊水分量については、服用前と有意な差は認められなかった。以上、唾液分泌量が減少すると、咀嚼時間は有意に延長するが嚥下時の食塊水分量には有意差がみとめられなかったことから、食塊を嚥下する時期は、従来から報告されている食物の粉砕程度などに加えて、食塊の水分量にも影響されることが示唆され、唾液分泌機能が低下した場合には、咀嚼能率が低下することが推測された。一方、咀嚼中に分泌される唾液量は、一口量を口に入れてから嚥下するまでの間、規則正しく分泌されるわけではなく、各被験者の一口量咀嚼時間を単純に3等分した場合(初期、中期、後期)、初期に分泌される量が最も多かった。これは味覚の順応、味の希釈などによる分泌量の減少が短時間に起こることは考えられないことから、咀嚼の初期における口腔の粘膜乾燥反射が強く働いていると考えられた。
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Research Products
(2 results)