1993 Fiscal Year Annual Research Report
歯帯孔の形態学的研究(肉眼的および光学・電子顕微鏡的観察)
Project/Area Number |
05671722
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
五嶋 秀男 明海大学, 歯学部, 教授 (60049343)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉村 譲 明海大学, 歯学部, 助手 (20230815)
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Keywords | 歯帯孔 / カニクイザル / 近遠心的位置関係 |
Research Abstract |
(研究目的) 乳歯の萌出および脱落、続いて起こる永久歯の萌出、またこれらに伴う顎骨歯槽部の成長発育の機序を解明することは小児を治療対象とするものにとって非常に大きな課題のひとつである。歯帯孔(管)は歯胚形成時に口腔上皮が陥入することによって形成された骨孔(管)であり、これは永久歯交換まで存在し続ける。我々はこの歯帯孔を形態学、組織学的に検索することにより歯の交換、顎骨の成長との関連性を追及しようと試みている。 そこで今回、各歯種の歯帯孔の出現位置について検討を加えた。 (材料と方法) 講座所蔵のカニクイザルの晒した頭骨からHellmanの歯齢ILA期に相当するもの10本を選び観察した。まず、上下顎顎骨の基準平面を設定し、写真撮影を行った。10倍大に拡大した写真上で、上下顎前歯部および下顎各第一小臼歯の基準線を設定した。この基準線に対する各歯帯孔の近遠心的位置を観察し、さらに左右差についても検討し、以下の結論を得た。 (結論) 1)歯帯孔は上下各歯種とも当該乳歯の中心から遠心位に位置していた。特に上下顎側切歯が最も遠心位に存在していた。しかし、わずかではあるが、下顎中切歯と下顎第一小臼歯の歯帯孔では当該乳歯の中心から近心位に位置していた。2)歯帯孔の位置は、上下顎歯種とも左右側対称であった。3)歯帯孔の位置が当該乳歯の中心に最も近いのが、下顎第一小臼歯であり、ついで下顎中切歯、上顎犬歯、上顎中切歯、下顎犬歯、上顎側切歯、下顎側切歯の順であった。4)下顎側切歯の歯帯孔のなかには、乳犬歯歯槽窩の近心舌側隅角部に位置し、犬歯の歯帯孔のような様相を呈するものも認められた。 今後さらに顎骨数を増やして観察を継続し、また、組織学的検索を加え歯帯孔(菅)の形態的特徴について考察する。
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