1993 Fiscal Year Annual Research Report
ヘテロ原子の有機金属への配位能を活用する不斉付加反応
Project/Area Number |
05671744
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Research Institution | Gifu Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
荒井 :謙次 岐阜薬科大学, 薬学部, 助教授 (10115157)
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Keywords | 不斉付加反応 / ヘテロ原子リガンド / 有機金属 |
Research Abstract |
本研究は、(+)-10-カンファースルホン酸から得られるケトピニン酸エステル(1)と10-ヒドロキシイソボルネオール(2)を共通出発物質に用い、その強固なボルニル炭素骨格に着目し、2-exo位と10位に、これまでほとんど用いられていないヘテロ原子を導入することにより、不斉付加反応の不斉補助基として有効な化合物群(=リガンド)の創出にある。 1.ケトエステル(1)をベンジルアミンと縮合し、得られたイミン体を還元し、2-exo位にアミノ基を導入した。得られたアミノアルコール(3)は2-exo位に窒素原子、10位に酸素原子を持ち、アミノアルコールリガンドのプロトタイプであり、各種アミンとの縮合による多種の本リガンド合成が可能となった。 2.アミノアルコール(3)とホスフィンとの反応によるオキサザホスホリジンの合成を検討した。アルコール(3)にヘキサメチルホスホラミドを作用させると、オキサザホスホリジン環が形成できた。しかし、Me_2N-P結合が容易に加水分解を受け、HO-P(ないしHO=P)基に変化してしまうことが分かった。オキサザホスホリジンボラン錯体への変換による安定化や他のホスフィン{アリル(ジアルキルアミノ)ホスフィン}との環形成による安定リガンド創製についても検討している。 3.ジオール(2)を用いて、10位アルコール部をトシル化、ついで、2-exoアルコール部をメチルエーテル化した。得られたメトキシトシラートをヨウ素で処理し、ヨウ素体を得た。ついで、塩基存在下、ジフェニルホスフィンを作用させると,ジフェニルホスフィン体を得ることができた。しかし,対応するジフェニルホスフィンオキシド体が副成しており、本リガンドの効率的合成法を検討している。
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