1993 Fiscal Year Annual Research Report
特異なスピロ構造を持つ制ガン性抗生物質フリデリカマイシンAの合成研究
Project/Area Number |
05671757
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
渡辺 三明 長崎大学, 計測・分析センター, 助教授 (10039654)
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Keywords | フレデリカマイシンA / リチエーション反応 / Wittig-Horner反応 / ジメチルフタリド-3-ホスホネート |
Research Abstract |
構造的な特異なスピロ環を有する6環性の制ガン性抗生物質フレデリカマイシンAの合成研究を行った。本研究はリチエーション反応を基盤としたフレデリカマイシンAの類縁体をも含めた一般性に富む合成法の開発を目標にしている。すでに,我々は芳香族第3級アミド類の位置選択的オルトリチエーション反応を利用したジメチルフタリド-3-ホスホネート誘導体の合成方法を開発しており,本研究にこのジメチルフタリド-3-ホスホネート誘導体を利用する計画を立案し,以下の諸研究を行った。本研究の成果はすでに学会で発表あるいは論文として報告している。 1.ジメチルフタリド-3-ホスホネート誘導体の反応性を明かにした。Wittig-Horner反応を行い,種々のアルデヒド類との反応で有用な天然物を含めた各種の3-イリデンフタリド誘導体の簡便な合成を完成した。 2.ジメチルフタリド-3-ホスホネート誘導体と電子不足オレフィン類との新規環形成反応を開発し,多置換ナフトール類の合成に本方法が利用できることを明かにした。 3.以上の研究をふまえて,ジメチルフタリド-3-ホスホネート誘導体と1-インダノン類との反応を行い,インダニリデンフタリド類の合成を行った。ついで、この化合物から環変換反応によりフレデリカマイシンAのコアと呼ばれている中心スピロ環接合部分を含めた構造上大変興味が持れる各種誘導体の合成に成功した。 これらの成果をもとに,フレデリカマイシンAの全合成を進めると同時に,その合成途中に派生する諸点すなわちナフタレン誘導体の新規リチエーション反応の開発やイソキノロン誘導体の新規合成法の開発等,フレデリカマイシンAの合成に欠かせない周辺の研究も行っている。
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[Publications] M.Watanabe: "Wittig-Horner Reaction of Dimethyl Phthalide-3-phosphonates with Aldehydes" Heterocycles. 36. 553-563 (1993)
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[Publications] M.Watanabe: "An Anrulation Reaction to Naphthalene-1,4-diols Using Dimethyl Phthalide-3-phosphonates" Chem.Pharm.Bill.,. 41. 968-970 (1993)
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[Publications] M.Watanabe: "Synthesis of 3-(1′-Indanylidene)phthalides via Wittig-Horner Reaction of Dimethyl Phthalide-3-phosphonates and Their Conversion to the BCDE Ring Part of Fredericamycin A" Heterocycles. 36. 2681-2686 (1993)