1994 Fiscal Year Annual Research Report
特異なスピロ構造を持つ制ガン性抗生物質フレデリカマイシンAの合成研究
Project/Area Number |
05671757
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
渡辺 三明 長崎大学, 計測・分析センター, 助教授 (10039654)
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Keywords | フレデリカマイシンA / リチェーション反応 / Wittig-Horner反応 / ジメチルフタリド-3-ホスホネート |
Research Abstract |
前年度に引続き、構造的に特異なスピロ環を有する6環性の制ガン性抗生物質フレデリカマイシンAの合成研究を行った。前年度の研究成果は、1)ジメチルフタリドホスホネート類とアルデヒド類とのWittig-Horner反応による天然物を含めた各種3-イリデンフタリド類の合成、2)電子不足オレフィン類との新規アニュレーション反応の開発であった。 本年度は、これらの成果をふまえて、以下の諸研究成果をあげることができた。本研究の成果の一部は、すでに学会で発表あるいは論文として報告している。 1.ジメチルフタリド-3-ホスホネート類と1-インダノン類との反応を行い、フレデリカマイシンAの中心スピロ環部(4環性化合物)の簡便な合成及び全ての酸素官能基を保持したスピロ環部の合成に成功した。 2.前年のアニュレーション反応を基盤として、新規ジメチルベンズフタリド-3-ホスホネート類を合成し、これと1-インダノン類との反応を利用してフレデリカマイシンAの5環性スピロ部分の構築に成功した。 3.構造的に大変興味が持たれている2,2-ジ置換スピロインダン-1,3-ジオン類の一般的かつ簡易な合成法を開発した。さらに、ナフタレン誘導体の新規合成法の開発やイソキノロン誘導体の新規合成方法の開発等にも成功したが、フレデリカマイシンAの全合成及びスピロ環部の不斉合成などの大変困難な諸問題はなお残されたままであり、残念なことにこれらを解決できなかった。
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