1993 Fiscal Year Annual Research Report
セレンおよびイオウ元素の特性を利用するヘテロ環化合物合成法の研究
Project/Area Number |
05671762
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
植田 泰誠 名古屋市立大学, 薬学部, 助教授 (50080198)
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Keywords | セレン / イオウ / ヘテロ環 / セレナダイアゾール / ピロール / ピリミジン / ピラジン / 1,3-ジケトン |
Research Abstract |
セレン元素やイオウ元素を組み込んだ化合物が興味ある挙動を示すことを利用してヘテロ環を簡便に合成する方法を検討した。その結果、ピリミジン誘導体よりセレナダイアゾール環を経由してピロール環が形成される新しい反応を見つけることができた。即ち、ピリミジン誘導体として1-amino-6-methyl-3-phenyl-4(3H)-pyrimidoneを選び二酸化セレンをジオキサン溶媒中で反応して1,2,5-セレナダイアゾール誘導体を得た。ここに得た1,2,5-セレナダイアゾール誘導体を合成反応に利用するためセレン元素を還元的に脱離して中間体に生じると思われるジアミン体に1,3-ジケトン類を反応したところ、予期したジアゼピン環ではなくピロール環が形成されることを認めた。還元剤としてはスズと塩酸とか、或は鉄と塩酸などいろいろ検討したが亜鉛と酢酸を用いる条件が最も良い収率を与えた。ピロール体の構造はH-NNR、マススペクトル、元素分析により決定した。ピロール誘導体のうち、3-acetyl-2,4-dimethyl-5-phenylcarbamoylpyrroleについてはアセトアニリドより得られるピロール体と一致することを認めた。1,2,5-セレナダイアゾール体に1,3-ジケトン類を反応するとき、アセト酢酸アニリド或はベンゾイルアセトンの様なかさ高い置換器をもつ場合はピロール誘導体の収率が低くなり、ピラジン環が形成されることを認めた。 以上ピリミジン誘導体よりセレナダイアゾール環を経由する新しいピロール誘導体或はピラジン環の合成法を見いだした。
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