1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05671764
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
白井 直洋 名古屋市立大学, 薬学部, 講師 (80080208)
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Keywords | アンモニウム・イリド / 脱シリル化 / Stevens転位 / Sommelet-Hauser転位 / シグマトロピー転位 / ラジカル転位 / [1,2]転位 / [2,3]転位 |
Research Abstract |
1.今までにStevens転位として報告されていた例を調べると,ほとんどの場合,転位基がベンジル基であり,アルキル基の例は少なく,あっても低収率であることが判った。これはStevens転位がイリドよりの直接[1,2]転位ではなく,[2,3]->[1,3]の2段階転位反応であることを示唆していた。[2,3]転位を起こさないN-alkyl-N,N-dimethylammonium N-benzylideをN-alkyl-N,N-dimethyl-α-(trimethylsilyl)benzylammonium halideの脱シリル化によってイリドアニオンを位置特異的に生成させ,転位反応を調べた。転位基がメチル,エチルの場合は[1,2]転位.[2,3]転位とも起こらず,脱シリル化した所にプロトンが入ったアンモニウム塩を主生成物として得た。ところが転位基がシアノメチル基の時にはStevens転位体が主生成物として得られた。ところが転位基がシアノメチル基の時にはStevens転位体が主生成物として得られた。このことは[2,3]転位を起こすことが出来ない場合でも転位基がラジカルを安定化する時は,Stevens転位はイリドより直接[1,2]転位を起こすことを示した。つまり,Stevens転位には2つの反応機構があることが明らかになった。 2.[2,3]転位を経由するStevens転位でも立体が保持されるかを調べた。S-(-)-N,N-dimethyl-1-phenethylamineより合成した光学活性なS-(-)-N,N-dimethyl-N-N-(trimethylsilyl)methyl-1-phenethylammonium iodideの脱シリル化反応で[2,3]転位によるイソトルエン化合物を得た。これに紫外線を照射し,Stevens体を得た。得られた化合物は67%eeの光学純度を示し,立体が不完全ではあるが保持されたことが判明した。このキラリティートランスファーの機構は分子軌道法によって反応機構をシミュレーションすることにより考察した。
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