1993 Fiscal Year Annual Research Report
位置選択的架橋反応を用いるヒトインスリンの高収率合成
Project/Area Number |
05671775
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
赤路 健一 京都薬科大学, 薬学部, 助教授 (60142296)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 徹 京都薬科大学, 薬学部, 助手 (70204980)
藤原 洋一 京都薬科大学, 薬学部, 助手 (60199396)
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Keywords | インスリン / ジスルフィド結合 / 位置選択的形成 / 化学合成 / シリルクロリド |
Research Abstract |
平成5年度中に以下の経過により、ヒトインスリンの高収率合成法の確立を行なうことができた。 1)ヒトインスリンA鎖およびB鎖の合成:適当なシステインのチオール保護基を持ったA鎖およびB鎖誘導体の合成を行なった。ペプチド鎖の構築は通常のFmoc型固相ペプチド合成法にしたがって行なった。得られた保護ペプチド鎖の脱保護には申請者が開発した新しい脱保護試薬、ほうふっ化水素酸を使用した。両合成ペプチドを高速液体クロマトグラフィーにより精製し高純度の目的ペプチドを得た。 2)ヒトインスリンの効率的全合成:1)で得られたA鎖およびB鎖を用いて、段階的ジスルフィド結合形成反応による3個のジスルフィド結合の形成を行なった。申請者が開発したシリルクロリドを用いる新しい架橋反応を従来の酸化反応と組み合わせることにより、3個の異なった保護基の組み合わせから順次ジスルフィド結合を形成させた。各合成中間体および最終品を高速液体クロマトグラフィーで精製し、効率的なインスリンの全合成を達成することができた。 3)当該年度のまとめ:平成5年度中に計画した研究目的は、当初の計画に従いほぼ予定どうり達成することができた。保護ペプチド鎖の構築では、通常の縮合試薬では収率に問題が生じたが、種々縮合法を検討することにより反応条件の最適化を図り、満足できる合成法を見つけることができた。また、段階的ジスルフィド結合形成については特に問題無く達成することができ、我々の新しい方法が非常に有効であることを確認することができた。
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[Publications] Kenichi Akaji: "Synthesis of Rat Brain Natriuretic Peptide 45 Using Tetrafluoroboric…" Chem.Pharm.Bull.,. 41. 1244-1248 (1993)
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[Publications] Kenichi Akaji: "Total Synthesis of Human Insulin by Refioselective Disulfide Formation…" J.Am.Chem.Soc.,. 115. 11384-11392 (1993)