1993 Fiscal Year Annual Research Report
放射ラベルリン脂質プローブを用いた各種生体膜リン脂質トランスロケーションの研究
Project/Area Number |
05671784
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Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
安西 和紀 放射線医学総合研究所, 薬理化学研究部, 主任研究官 (70128643)
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Keywords | 放射ラベル / リン脂質 / トランスロケーション / アミノリン脂質トランスロカーゼ / 赤血球膜 / シナプトソーム膜 / シナプス小胞膜 |
Research Abstract |
グリセロール骨格の2位の位置の脂肪酸鎖が^<14>Cで放射ラベルされ、その脂肪酸鎖の長さが炭素数で5と短い、ホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、ホスファチジルセリン(PS)、およびホスファチジン酸(PA)の4種の放射ラベルリン脂質プローブを新規に合成した。これらプローブのうちPC、PE、PSの3種について、赤血球膜におけるリン脂質トランスロケーションの測定に適用してみた。その結果、従来スピンラベルリン脂質プローブなどを用いて測定されていたPEおよびPSに特異的でATP依存性のリン脂質トランスロケーションが高感度かつ正確に測定できた。すなわち、これらのプローブが、各種生体膜のリン脂質トランスロケーションを高感度かつ正確に測定する上で有効であることを明らかにした。 上記、PC,PE,PSの3種の放射ラベルリン脂質プローブを用いて、シビレエイ電気器官のシナプトソーム膜のリン脂質トランスロケーションを測定した。その結果、シビレエイ電気器官シナプトソーム膜にはATP依存性でPSに特異的なリン脂質輸送体が存在することを明らかにした。この輸送体は、赤血球膜に存在しPEとPSに特異的なアミノリン脂質トランスロカーゼとはリン脂質特異性の点で異なっている。 シナプス小胞膜のような小さな膜系と牛血清アルブミンとを速やかに分離する手段としてスピンカラム法を確立し、この方法を用いることによりシビレエイ電気器官のシナプス小胞膜におけるリン脂質トランスロケーションを測定できるようになった。シナプス小胞には、PC,PE,PSを区別せずATPに関係なく細胞質側層から内腔側へのリン脂質トランスロケーションを司る輸送体が存在することが示唆された。
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[Publications] K.Anzai,Y.Yoshioka,Y.Kirino: "Novel radioactive phospholipid probes as a tool for measurement of phospholipid translocation across biomembranes" Biochim.Biophys.Acta. 1151. 69-75 (1993)