1994 Fiscal Year Annual Research Report
放射ラベルリン脂質プローブを用いた各種生体膜リン脂質トランスロケーションの研究
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05671784
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Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
安西 和紀 放射線医学総合研究所, 薬理化学研究部, 主任研究官 (70128643)
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Keywords | リン脂質 / トランスロケーション / 脂質二重層膜 / 赤血球 / シナプトソーム / シナプス小胞 / 放射活性リン脂質プローブ / X線照射 |
Research Abstract |
昨年度に使用したRIラベルリン脂質プローブは卵黄リゾレシチンから合成したのでグリセロール骨格の1位の位置の長さが異なるものの混合物であった。今年度は、1位がステアリン酸のリゾレシチンを原料にして、1位の長さが均一で2位の位置に炭素鎖が5の^<14>Cでラジオアイソトープラベルされたホスファチジルセリン(C_<18/5>-PS)とホスファチジルコリン(C_<18/5>-PC)を合成し、赤血球膜のリン脂質トランスロケーションを測定した。その結果、トランスロケーションの定性的な性質は変わらなかったが、速度が若干変化した。さらに、1位がパルミチル酸のリゾレシチンを原料にして合成をおこない定量的な比較をめざしている。 赤血球に50GyのX線を照射するとコントロールに比べてホスファチジルセリンの外側層から内側層へのトランスロケーションの初期速度が少し遅くなった。一方、平衡では約95%が内側層となりコントロールと変わらなかった。ホスファチジルコリンでは有意差はなかった。50GyのX線照射による溶血はコントロールと変わらずほとんどおきていなかった。チオバルビツール酸法によりX線照射による脂質過酸化を測定した結果、マロンジアルデヒドの増加は0.05nmol/mg lipidであった。このように溶血がおこらずマロンジアルデヒドの増加も少ないような条件でもアミノリン脂質トランスロカ-ゼの活性が影響を受けることは興味深い。
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[Publications] K.Anzai,Y.Yoshioka,K.Hatanaka,Y.Kirino: "Phosphatidylserine-specific transbilayer lipid translocation in synaptosomes from Narke japonica" J.Biochem.(in press). (1995)