1993 Fiscal Year Annual Research Report
セファロスポリン分解型β-ラクタマーゼ活性中心機能の研究
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05671808
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
塚本 喜久雄 千葉大学, 薬学部, 助手 (20183478)
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Keywords | β-ラクタマーゼ / 活性中心 / 基質特異性 / β-ラクタム抗生物質 / 薬剤耐性 / 蛋白-リガンド相互作用 / 分子動力学 / 分子モデリング |
Research Abstract |
Citrovacter freundii GN346の生産するクラスCβ-ラクタマーゼ遺伝子クローンを鋳型とし、オリゴDNAを用いた部位限局ランダム変異導入法によって変異β-ラクタマーゼ遺伝子ライブラリーを作成した。本酵素の3次元構造をもとに予想した、活性中心ポケットを構成する4領域(57アミノ酸座位)を標的アミノ酸配列とした。各種β-ラクタム剤に対する耐性レベルの変化によって、酵素活性に影響を受けた変異β-ラクタマーゼ遺伝子をスクリーニングし、得られた変異遺伝子の塩基配列を決定した。138個(41アミノ酸座位)の独立したアミノ酸変異遺伝子を単離同定した。この中から既に報告したSer64,Lys67およびLys315のほかに、新たにTyr150とAsn152が酵素活性に重要な機能アミノ酸残基であることを見出した。この研究によって、本酵素の活性中心ポケットに露出したアミノ酸残基のほとんどをスクリーニングし、重要残基はほぼ同定できたと考えられる。予備的に測定した変異酵素の酵素動力学的パラメータ変化から、Tyr150が触媒反応に、Asn152が基質結合に関与することが示唆された。平成6年度の課題としてこれら残基の機能を詳細に解析するために、それぞれ系統的にアミノ酸置換を導入した部位特異的変異酵素遺伝子を作成した。一方、RI標識基質(^<14>C-Benzylpenicillin)を用いた酵素素反応の速度変化を評価する解析系を確立した。この手法を用いて、既に同定した機能アミノ酸残基Lys67がアシル化ステップ、Lys315が脱アシル化ステップで機能する重要残基であることを明らかにした。また本酵素の3次元構造モデルをグラフィックコンピュータで構築した。反応モデルを推測するために酵素-基質複合体(ミカエリス複合体およびアシル酵素反応中間体)の安定構造を分子動力学計算で推定し、同定した機能アミノ酸残基と基質との相互作用を3次元的に考察した。
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Research Products
(1 results)