1993 Fiscal Year Annual Research Report
胃粘液分泌の神経・ペプチド性調節機構と粘膜防御に関する薬理学的研究
Project/Area Number |
05671810
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
矢野 眞吾 千葉大学, 薬学部, 助教授 (90009655)
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Keywords | 胃粘膜 / 粘液分泌 / 胃酸分泌 / 胃運動 / プロスタグランジン / カプサイシン / セロトニン / 胃潰瘍 |
Research Abstract |
胃粘膜から酸、粘液、ペプチン、重炭酸イオン等が分泌される。これらの分泌は個々に独立した機序に基づくが、相互に密接な関連がある。そこで研究では必要に応じてこれらの複数の胃機能を測定し、胃粘膜防御機能における神経性・局所ホルモン性機序を解明することを試みた。これまでに得られた主要な成績をまとめると、1)胃粘液分泌は中枢性機序により迷走神経性に刺激が高められる経路があることがわかった。このルートの末梢コリン性神経の受容体サブタイプはM3であることが受容体遮断薬を用いた検討から判明した。胃酸分泌における中枢性機序についても比較検討し、特にカイニン酸の胃酸分泌亢進作用では中枢セロトナージックの関与が重要であることがわかった。2)自律神経調節に加えて、最近、局所における神経内分泌オータコイド調節の役割が注目されている。その一つにNO神経がある。NOの神経性調節については胃粘液分泌、胃酸分泌、胃運動の面から検討を進めている。粘液分泌においては、NOの合成阻害薬はex vivoの実験系では変化が見られなかった。胃酸分泌反応も摘出全胃標本モデルでは大きな変化が認められなかった。胃運動においては、迷走神経の電気刺激により、いわゆる非コリン非アドレナリン(NANC)性弛緩作用の主たる伝達物質として働くことが証明された。一方、カプサイシン感受性神経、プロスタグランジン、NOの胃粘膜損傷予防効果における3者の役割を明らかにした。3)胃粘膜細胞レベルにおける粘液分泌および塩酸分泌における薬物作用を検討した。粘液分泌においては、薬物反応を測定する基礎条件として、粘液の合成と分泌を区別して測定する方法が確立しつつある。一方、塩酸分泌においては、チャンネル形成型Caイオノフォアとフォルスコリンの増強作用を見い出した。
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[Publications] Syunji Horie: "Differential Effects of Na^+,K^+-ATPase Inhibition by Ouabain on Acid Secretory Responses to Histamine and Bethanechol in the Mouse Isolated Stomac." British Journal of Pharmacology. (印刷中). (1994)
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[Publications] 藤川徹: "ラット及びマウスにおける胃幽門洞潰瘍作製に関する検討:特にカプサイシン処置の影響" 実験潰瘍. 20. 93-96 (1993)
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[Publications] Syunji Horie: "Inhibition of Gastric Acid Secretion In Vivo and In Vitro by an Inhibitor of Cl^--HCO_<3-> Exchanger,4,4'-Diisocyanostilbene-2,2'-disulfonic Acid." Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics. 265. 1313-1318 (1993)
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[Publications] Syunji Horie: "Effects of 4,4'-Diisocyanostilbene-2,2'-disulfonic acid,an Inhibitor of Cl^--HCO_<3-> Exchanger,on Stress-induced Gastric Lesions in rats." Res.Comm.Chem.Pathol.Pharmacol.79. 117-120 (1993)
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[Publications] Kazuo Watanabe: "Comparative effects of cimetidine and famotidine on the vagally stimulated acid secretion in the isolated mouse whole stomach" Japan.J.Pharmacol.61. 229-236 (1993)