1993 Fiscal Year Annual Research Report
アスコルビン酸輸送系の分子的解明と環境汚染物質毒性評価への応用
Project/Area Number |
05671818
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
武藤 徳男 大阪大学, 薬学部, 助教授 (30112642)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 慶一 大阪大学, 薬学部, 教授 (90068247)
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Keywords | アスコルビン酸 / アスコルビン酸結合蛋白 / 膜輸送 / 毒性評価 |
Research Abstract |
本年度は、アスコルビン酸輸送担体の分子的解明に関する基礎的研究を行い、以下の点を明らかにした。[^<14>C]アスコルビン酸結合活性を指標に、アスコルビン酸輸送の最も活発な臓器である小腸粘膜、腎臓について種々実験動物を用いて検討し、ラット腎臓及びウサギ腎臓、小腸粘膜細胞膜画分に高い活性を認めた。この内、ラット腎臓細胞膜画分からの結合活性本体の可溶化を種々界面活性剤を用いて検討し、CHAPSにより最も効率よく可溶化されることを認めた。このCHAPS可溶化標品の[^<14>C]アスコルビン酸結合活性は還元型アスコルビン酸の添加で強く阻害され、また酸化型アスコルビン酸(デヒドロアスコルビン酸)による阻害は弱いことより、その結合は還元型アスコルビン酸特異的であった。本結合活性は、グルコースでは全く阻害されず、またアスコルビン酸の新規安定型誘導体アスコルビン酸グルコシドでも殆ど阻害されないことより、アスコルビン構造を厳密に認識すると考えられる。またCHAPS可溶化標品をゲルろ過、イオン交換クロマトグラフィーで分離精製し、活性を保持した結合成分を部分精製できた。以上の成果は、アスコルビン酸輸送(結合)担体に関する知見が全く報告されていない現在、その分子解明に向けて重要な成果であり、高度精製の結果と共に論文発表する予定である。これら研究においては、結合活性測定系におけるアスコルビン酸の化学形分析や定量にHPLCを用いたが、その検出器は本研究課題で新規購入したものである。次年度までの研究期間においては、腎臓細胞膜に存在するアスコルビン酸結合蛋白の精製及びその精製蛋白を用いた輸送系の再構成や他臓器に発現する分子との生化学的かつ生理学的異同についての比較検討を行い、さらにもう一つの課題であるアスコルビン酸輸送系に対する環境汚染物質の毒性を本蛋白の発現レベルや機能的異常から評価し、評価モデル系としての構築を図る予定である。
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