1994 Fiscal Year Annual Research Report
アスコルビン酸輸送系の分子的解明と環境汚染物質毒性評価への応用
Project/Area Number |
05671818
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
武藤 徳男 大阪大学, 薬学部, 助教授 (30112642)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 慶一 大阪大学, 薬学部, 教授 (90068247)
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Keywords | アスコルビン酸 / アスコルビン酸結合蛋白 / 膜輸送 / 毒性評価 |
Research Abstract |
初年度の研究においてラット腎臓粗膜画分よりアスコルビン酸結合活性を可溶化し、還元型アスコルビン酸特異的な結合特性を明らかにした。この成果を基に、今年度は本結合活性成分の精製を試み、ゲルろ過により分子量約10万の分画にその活性を認めた。この時活性の減少は少なく、本法により効果的な精製が達成されたが、電気泳動結果は依然他成分を含有する状態であったため、次に種々のカラムクロマトグラフィーにかけたが、現在精製効率をあげる手段は見つかっていない。アスコルビン酸輸送担体については遺伝子発現系を用いた膜タンパクの存在が外国の研究機関より報告されており(1994年)、分子的究明は重要な課題である。一方、細胞レベルでのアスコルビン酸輸送を評価するためラット小腸粘膜由来上皮細胞株IEC-6細胞を用いたところアスコルビン酸特異的な取込みが認められ、グルコース輸送担体を介するアスコルビン酸輸送は否定された。本細胞系を用いることにより、各種環境要因のアスコルビン酸輸送への影響を評価できると考えられ、実験系の確立に努力している。また、環境化学物質の1つとして今回ニコチン経口摂取マウスにおけるアスコルビン酸吸収を測定したが、摂取後の時間経過に伴いその見かけの血中濃度は著しく上昇し、アスコルビン酸動態が異物による粘膜機能変化または代謝機能変化等により影響を受けることが明らかになった。これらの点を含めて総合的な考察を行う予定である。
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