1994 Fiscal Year Annual Research Report
肝癌発生過程におけるグルタチオントランスフェラーゼ遺伝子活性化の分子機構
Project/Area Number |
05671820
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
今川 正良 大阪大学, 薬学部, 助教授 (20136823)
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Keywords | グルタチオントランスフェラーゼ / 肝癌 / 化学発癌 / エンハンサー / サイレンサー / 遺伝子発現 / トランスジェニックラット |
Research Abstract |
グルタチオントランスフェラーゼP(GST-P)遺伝子の発現は、ラット肝化学発癌において顕著に上昇する。その機構を解明するため、5'上流領域を解析し強力なエンハンサーGPE1を-2.5Kbに、サイレンサーを-300bpにみいだした。本年度はこれらの機能について以下のことを明らかにした。 1。トランスジェニックラットを用いた化学発癌実験により、GST-P遺伝子の5'制御領域は染色体の位置に無関係に癌化に伴い活性化されることを前年までに明らかにしたが、さらに詳細な変異体を導入したキメララットを作製し、検討したところ、GPE1のみでGST-P遺伝子を活性化しうることを明らかにした。 2。サイレンサー内には数種のエレメントがあるが、その中でも重要なGPS4に結合する転写因子を精製し、アミノ酸配列を決定した。興味あることにNF1(Nuclear Factor 1)様の蛋白質であることが明らかとなった。NF1は複製にも働く活性化因子として知られているが、その機能の詳細は不明であり今後の課題である。 3。サイレンサー結合蛋白質の一つであるSF-Bは、転写活性化遺伝子であるC/EBPβ(=NF-IL6=LAP/LIP)と同一と思われた。LIPはこれまで転写活性化ドメインを欠き転写活性化因子と競合するだけと考えられてきたが、より積極的な作用をしていると推察された。すなわち、直接的に転写を抑制することを明らかにした。さらに興味あることに、エフェクターの濃度によっては、DNA結合ドメインを持たなくても転写を阻害した。これは塩基配列特異的転写因子が、条件によっては非特異的因子として働く可能性を示唆している。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Toshiya Suzuki: "Acute changes in liver gene expression in the N-nitrosodiethylaminetreated rat." Carcinogenesis,. 15. 1759-1761 (1994)
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[Publications] Jun-ichi Nishikawa: "Difference and similarity of DNA sequence recognized by VDR homodimer and VDR/R×R heterodimer." Nucl.Acids Res.,. 22. 2902-2907 (1994)
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[Publications] Jun-ichi Nishikawa: "Vitamine D receptor contains multiple dimerization interfaces that are functionally different." Nucl.Acids Res.,. 23(印刷中). (1995)