1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05671834
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Research Institution | Gifu Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
稲垣 直樹 岐阜薬科大学, 薬学部, 助手 (30137062)
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Keywords | ラット腹腔肥満細胞 / IgE抗体 / histamine遊離 / 肥満細胞増多 |
Research Abstract |
本年度はin vitro肥満細胞培養法確立のための基礎的検討として、Percollを用いたラット腹腔肥満細胞の分離精製法を確立し、種々の刺激物質によるhistamine遊離を検討した。ついで、ラットの腹腔内で抗原抗体反応を惹起することによって、腹腔内肥満細胞増多がひき起こされることを確認した。ラット腹腔肥満細胞は60%Percollを用いる比重遠心により比較的容易に95%以上に純化された。純化した肥満細胞はcalcium ionophore A23187、compound 48/80 および substance P によって、純化しない腹腔細胞を用いた場合と同等のhistamineを遊離したが、in vivoで感作し、純化した腹腔細胞を抗原、抗IgE抗体およびconcanavalinAで刺激した場合にはhistamine遊離は著しく減弱した。したがって、IgE抗体依存性の肥満細胞活性化は共存する他の細胞によって調節されているものと考えられる。あらかじめ抗体注射したラットにIgE抗体を腹腔内注射して感作し、2日後に抗原を腹腔内注射してin vivo histamine遊離を惹起した。腹腔内に検出される肥満細胞数は反応惹起後一過性に減少したが、3週間後には著明に増加した。なお、この肥満細胞の増加が腹腔内に分布していた肥満細胞が分裂増殖したものか、他から前駆細胞が供給されて増加したものかは不明である。これらの検討から、感作腹腔肥満細胞を抗原刺激下にin vitroで培養することにより、肥満細胞の分裂増殖を誘導することが可能であると考えられる。また、腹腔に共存している他の細胞がhistamine遊離にみられるように、肥満細胞の分裂増殖を支持する可能性も考えられる。肥満細胞は活性化に伴って種々のcytokineを産生することが知られているが、感作リンパ球の産生するcytokineも協力的に作用することも期待される。これらの知見をもとに次年度ではin vitroの検討を行う。
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