1994 Fiscal Year Annual Research Report
リン脂質代謝異常からみた糖尿病での白血球機能低下の解析
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05671838
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
中川 靖一 北里大学, 薬学部, 教授 (00119603)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大島 源一郎 北里大学, 薬学部, 助教授 (20050502)
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Keywords | アラキドン酸 / ロイコトリエン / 糖尿病 / 凝集 / 白血球 |
Research Abstract |
昨年度において、ストレプトゾドシンによって誘発した糖尿病ラットの好中球ではアラキドン酸が減少しており、A23187により活性化されたとき、リン脂質よりのアラキドン酸の遊離は著しく抑制されていることを明らかにした。本年度は糖尿病ラット好中球の遊離アラキドン酸の生成の抑制が機能に及ぼす影響について検討した。 糖尿病ラットの好中球における、リボキシナーゼ産物であるロイコトリエンB4(LTB4)および5-ヒドロキシエイコサテトラエン(5-HETE)生成の変動の有無について検討したところ、糖尿病ラットの好中球ではLTB4、5-HETEの生成量は正常に比較して、有意に減少していた。糖尿病、正常ラット好中球のリボキシゲナーゼの活性には違いが見られなかったことから、LTB4,5-HETEの産生の減少はそれらの前駆体である遊離アラキドン酸の供給の低下によるものと考えられた。 A23187による好中球の凝集を調べたところ、正常に比較して糖尿病ラット好中球では明らかに低下していた。好中球の凝集はアラキドン酸,LTB4でも惹起され、またA23187による凝集はリボキシゲナーゼ阻害剤で抑制されることから、活性化された好中球の凝集は同時に生成したLTB4により引き起こされることが明らかとなった。また、アラキドン酸による白血球の凝集能は正常、糖尿病で違いは見られなかった。これらの結果は糖尿病ラット好中球の凝集の低下は活性化とともに生成された遊離アラキドン酸、さらにLTB4などのメディエーター産生の低下によるものと考えられた。
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