1993 Fiscal Year Annual Research Report
薬毒物による肝グルタチオン枯渇と酸化的ストレス応答の多様性
Project/Area Number |
05671843
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
吉田 武美 昭和大学, 薬学部, 教授 (20138415)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 佐知子 昭和大学, 薬学部, 助手 (00197419)
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Keywords | グルタチオン枯渇 / ストレス応答 / ヘムオキシゲナーゼ / メタロチオネイン / チトクロム P-450 / 熱ショックタンパク質 / スチルベンオキシド |
Research Abstract |
本研究は、肝臓のグルタチオン枯渇に伴う酸化的ストレス応答の多様性を明らかにすることを目的としている。本年度の研究の結果、トランススチルベンオキシドによるグルタチオン枯渇後にストレスタンパクの一種であるヘムオキシゲナーゼ(HO)誘導と常在型および誘導型P-450の変動が明らかになった。本化合物のHO誘導に伴い、常在型の2C6、2C11、2E1が減少するが3A2は変化しないこと、HO誘導の消失により2B1/2、2C6及び3A2が誘導されるが2C11と2E1は依然として減少することが明らかになった。この結果は、薬毒物によるHO誘導に伴い、常在型P-450分子種間に大きな差異があることを示している。さらに、本化合物によるHO誘導は、mRNAレベルの増加によることを明らかにするとともに、メタロチオネインの誘導も確認した。ほぼ同様な現象がシススチルベンオキシドでも認められた。さらに、ジピリジル化合物が位置特異的にHO誘導とP-450誘導作用を有し、両作用が分離できること、HO誘導の場合にはグルタチオン減少が先行することを明らかにした。また、本研究過程において、1-ベンジルイミダゾールのラットP-450 2B1/2誘導作用に顕著な性差が存在し、雄のみで誘導され、幼若動物では性差が消失することを明らかにした。従って、イミダゾールやピリジン含有化合物がヘム代謝やP-450誘導に大きな影響を及ぼすことが本研究で明らかになった。ストレス応答としての熱ショックタンパクの発現については、目下検討中である。本研究過程は、順調に進行しており、医薬品をはじめ薬毒物によるグルタチオン枯渇後のストレス応答の多様性がより明確になるものと期待できる。
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Research Products
(1 results)