1993 Fiscal Year Annual Research Report
細胞の増殖・分化を制御する新しい情報伝達系としてのスフィンゴ脂質代謝回転
Project/Area Number |
05671847
|
Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
野尻 久雄 帝京大学, 薬学部, 助教授 (70180742)
|
Keywords | スフィンゴ脂質 / ガングリオシド / シグナル伝達 / 増殖制御 / 分化誘導 / 白血病細胞 |
Research Abstract |
スフィンゴ脂質代謝はスフィンゴミエリン(SM)系、スフィンゴ糖脂質(GSL)系とも刺激に応答して変動し、その代謝中間物質や代謝産物に様々な生物活性があることから、シグナル伝達系を形成している可能性が報告されている。しかし、SM系とGSL系の変動を総合的に解析した研究はなされておらず、活性代謝中間物質である、スフィンゴイド(セラミドやスフィンゴシン及びそれらの誘導体)がどちらの経路から生成してくるのか不明のままであった。またスフィンゴイドだけでなく特定糖鎖構造のGSLにも生物活性がある。そこで、シグナル伝達系としてのスフィンゴ脂質代謝系の全体像を把握するために、スフィンゴ脂質全体を1枚の薄層プレート上で定量的に分析できる系を開発した。この方法の確立によりSM系とGSL系の変動を同時に定量的に観察することが初めて可能となった。 この方法を用いてヒト急性前骨髄球性白血病細胞株HL-60細胞のフォルボールエステルTPAによる分化誘導刺激時のスフィンゴ脂質代謝を解析したところ、Kolesnicksらにより提唱されている。“SM経路"におけるSMの変動に伴ったセラミドの量的変化は認められず、刺激に応答するのは特定ガングリオシド(G_<M3>)分子の合成反応であることが判明した。さらに重要なことに、この際にグリコシル化を受けるセラミドは、SMの代謝に関与するセラミド分子種とは異なることが明らかとなり、セラミドの代謝がSM系とGSL系で異なることが判明した。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] Tsutom Tsuruoka et al.: "Selection of a Mutant Cell Line Based on Differential Expression of Glycosphingolipid,Utilizing Anti-lactosylceramide Antibody and Complement" Journal of Biological Chemistry. 268. 2211-2216 (1933)
-
[Publications] Kazuo Muroi et al.: "Expression of Sialosyl-Tn in Colony-Forming Unit-Erythroid,Erythroblasts,B Cells,and a Subset of CD4^+Cells" BIooD. 83. 84-91 (1994)
-
[Publications] 野尻久雄、斎藤政樹: "グリコバイオロジーシリーズ第6巻 グリコパソロジー" 講談社(箱守仙一郎、木幡陽、永井克孝編), 10 (1993)
-
[Publications] 斎藤政樹、野尻久雄: "グリコバイオロジーシリーズ第3巻 細胞社会のグリコバイオロジー" 講談社(箱守仙一郎、木幡陽、永井克孝編), 18 (1993)