1993 Fiscal Year Annual Research Report
動物細胞膜機能にはたすスフィンゴ脂質の役割に関する遺伝生化学的研究
Project/Area Number |
05671861
|
Research Institution | 国立予防衛生研究所 |
Principal Investigator |
赤松 穣 国立予防衛生研究所, 細胞化学部, 部長 (00072900)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 康仁 国立予防衛生研究所, 細胞化学部, 主任研究官 (30113484)
西島 正弘 国立予防衛生研究所, 細胞化学部, 室長 (60072956)
|
Keywords | スフィンゴミエリン / CD-14 / LPS受容体 / セリン・パルミトイルトランスフェラーゼ / スフィンゴ脂質合成欠損変異株 |
Research Abstract |
スフィンゴイド塩基を構造骨格とする一群の脂質、スフィンゴ脂質は動物細胞の主要な膜脂質である。この脂質の生理的役割を明らかにする意図の下に私達はすでに、スフィンゴ脂質生合成の初発段階を担うセリンパルミトイルトランスフェラーゼの活性が熱不安定に変化した温度感受性動物細胞変異株の単離に世界で最初に成功し、この変異株の解析からスフィンゴ脂質は動物細胞の増殖に不可欠であることを明らかにした。スフィンゴ脂質の生理的意義を膜蛋白質との機能的相関の面から解明するために本年度は対象をグリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)シンカー蛋白質との関係に焦点を合せて解析を行った。その結果GIP構造をカルボキシル末端に付加する事によって形質膜表面に存在しているGPIアンカー蛋白質がスフィンゴ脂質の欠損によって受ける影響について明らかにした。 (1)まず、スフィンゴ脂質合成欠損変異株および野性株にマクロファージ表面のリボ多糖受容体であるGPIアンカー蛋白質の一種、CD14の遺伝子を持つプラスミドを導入して、CD14発現細胞の作成に成功した。 (2)更にリボ多糖(LPS)の高親和性受容体であるCD14の細胞表面存在量を、放射性LPSを用いて簡便に定量する系を確立した。 (3)CD14(受容体)の受容機構に及ぼすスフィンゴミエリン量の減少の効果を調べたところ、CD14分子がホスフォリパーゼCに対して異常に感受性が高くなっていることを明らかにした。 (4)変異株で発現した場合にのみ起こるCD14の機能変化が、スフィンゴ脂質欠損に起因することを外来性スフィンゴ脂質を用いた相補試験によって証明することが出来た。 (5)上記の結果を総合すると、CD14分子は膜においてスフィンゴミエリンと密接な関係で存在し、スフィンゴミエリン量の低下がCD14の存在様式に変化を与え、その受容機構の効率を低下させていることを明らかにした。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] Kentaro Hanada,Masahiro Nishijima,Kenji Suzuki,and Yuzuru Akamatsu.: "Sphingolipids are Essential forthe Growth of Chinese Hamster Ovary Cells.Restoration of the Growth of a Mutant Defective in Sphingoid Base Biosynthesis by Exogenous Sphingolipid" J.Biol.Chem.267. 23527-23533 (1992)
-
[Publications] Kentaro Hanada,Kiyo Izawa,Masahiro Nishijima,and Yuzuru Akamatsu.: "Sphingolipid Deficientcy Induces Hypersensitivity of 14,a Glycosyl Phosphatidylinositol-anchored Protein,toPhosphatidylinositol-specific Phospholipase C." J.Biol.Chem.268. 13820-13823 (1993)