1993 Fiscal Year Annual Research Report
患者のクォリティ・オブ・ライフ向上をめざす医学教育の実践に関する実証的分析
Project/Area Number |
05671882
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
山岡 和枝 帝京大学, 法学部, 助教授 (50091038)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 康毅 帝京大学, 医学部, 助教授 (70178341)
矢野 栄二 帝京大学, 医学部, 教授 (50114690)
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Keywords | クォリティ・オブ・ライフ / 患者 / 病気 / 数量化III類 / 得点化 / 態度 / 医学教育 |
Research Abstract |
本研究は、医療現場において最低限必要な基本的なQOLの事項について入院および外来患者を対象にした調査分析を行い、QOLの特性を分析しその構造を把握することを目的として行った。 某大学病院の入院・外来患者を対象としたQOL調査の結果、QOL調査票として作成された2種類の調査票について、延べ入院患者171名、外来患者173名、医師、看護婦、学生を含む一般人867名より回答を受けた。両調査票のスキームは大きく病気に関する状況と態度に関する状況に分けられ、それぞれに身体的状況と環境や心理状態などの心的状況に関する項目が含まれている。QOL調査の分析を多次元データ解析の手法(数量化III類)を用いて分析し、入院患者および外来患者の共通の項目についてQOLの特徴を明かにしたところ、これらの項目は2種類の調査票のいずれにおいてもほぼ1次元構造を持つことが示され、反応個数により得点化することが可能であることが示唆された。特にこれは病気に関する状況の項目群で顕著であった。また、この構造は医師および看護婦を含めた健常人についても同様であることがわかった。 QOLの向上は、態度に関する要因の向上によりもたらされると推察され、特に治療の満足、信頼、安心してかかれる医者の有無などよりも、病気の心配、ストレスの解消法、必要とされるという意識、経済的に不安がないことなどがQOLと関連する可能性が示唆された。今後の医学教育においても、QOLを考慮する必要があること、この際に、病院の医療体制、診療内容などもさることながら、患者の態度に関する要因をいかに把握し、改善していくことも意味があると推察された。
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