1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05671883
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
鈴木 荘太郎 東海大学, 医学部・地域保健学, 助教授 (30102841)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊東 明美 東海大学, 医学部・内科6, 助手 (80176320)
渡辺 一平 東海大学, 医学部・地域保健学, 助手 (50147162)
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Keywords | 消化器内視鏡 / 内視鏡的治療 / 医療評価 / 医療情報管理 / 医療経費 / 在院日数 |
Research Abstract |
1994年度に、当大学付属病院開院以来17年の間に、緊急内視鏡検査により診断された上部消化管出血例の内、胃潰瘍と十二指腸潰瘍と診断されて治療された症例を対象として、主な治療法として選択された止血法、保存的治療、外科的治療などの各々による治療成績と医療効率を比較検討し、内視鏡的止血法の効果に関する評価を行った。調査対象例は700例余で、開院した1975年〜1985年までは外科手術が10〜20%で、他の約80%は保存的治療が選択されていた。1985年以降は胃酸分泌抑制薬として開発されたII_2受容体拮抗薬(H_2薬)と内視鏡的止血法(止血術)の臨床応用が第一選択され、手術例は著減した。医療評価としては、先ず在院日数を検討すると手術例が最長で、次に保存治療群(H_2薬以前)、H_2薬と止血術併用群、H_2薬点滴群、H_2薬内服群の順であり、手術群は薬二倍の在院日数であった。医療経費の検討では、在院日数に比例する傾向があり、保存治療例は手術群の約1/2の医療費であった。即ち、H_2薬の開発と内視鏡止血法の応用によって、従来より在院日数は減少し、医療経費は削減された。その上、患者にとってより侵襲が少なく、簡便で安価な医療が実現したことが明らかになった。1995年度には特に背景因子の検討で、65歳以上の高齢者に重症例が高頻度であった内容を、さらに詳細に検討した。高齢者の生活環境に関して、核家族化の影響をみると、全国平均に比較し、重症の消化管出血例は独居や老人世帯より二世代や三世代の生活環境にある高齢者に高頻度であった。この事実は病弱である為、二〜三世代で居るとも考えられるが、消化性潰瘍の原因の一つであるストレスが、多世代の生活で増大している可能性も否定しえないものと考えられた。尚、消化器癌に対する内視鏡的切除例に関する調査は継続中で、今後報告する予定であるが、食道癌、胃癌、大腸癌のいずれとも、手術例に比べ在院日数の短縮を認めた。
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