1994 Fiscal Year Annual Research Report
心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)分解酵素阻害薬の腎機能保護作用
Project/Area Number |
05671902
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Research Institution | Jichi Medical School |
Principal Investigator |
藤村 昭夫 自治医科大学, 医学部, 教授 (90156901)
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Keywords | 心房性ナトリウム利尿ペプチド / シノルファン / シクロスポリン / アミカシン / 腎機能障害 |
Research Abstract |
cyclosporinAやamikacinによる腎機能障害を防止する治療法は、まだ確立していない。また、そのような治療法に対する研究も少ない。平成5年度の研究によりcyclosporinAやamikacinによる腎機能障害をANP分解酵素阻害薬であるsinorphanが防止することが明らかとなった。しかし、これはcyclosporinAやamikacinとsinorphanを最初から併用したときの成績であり、cyclosporinAやamikacinによりすでに生じた腎機能障害をsinorphanが改善するか否かは明らかではない。そこで平成6年度の研究では、この点を明らかにすることを目的とした。amikacin(250g/kg.day)あるいはcyclosporinA(50mg/kg.day)を反復投与(21日)した群では腎機能障害が生じ、Clcrの低下、尿中NAG排泄量の増加およびPRA高値を認めた。また組織学的にも腎尿細管上皮細胞の壊死および脱落を認めた。しかし、8日目よりsinorphan(50mg/kg.day)を併用した群では、amikacinやcyclosporinAによる腎機能障害は著明に改善し、また組織学的にもsinorphanの腎保護作用が明らかになった。 以上の成績より、amikacinやcyclosporinAによりすでに発症した腎機能障害でもsinorphanは改善するものと思われる。
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