1993 Fiscal Year Annual Research Report
酵素を試薬とする生体液中微量金属の高感度分析法の開発に関する研究
Project/Area Number |
05671923
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田畑 勝好 京都大学, 医療技術短期大学部, 助教授 (70115880)
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Keywords | Ca / 酵素的分析法 / ホスホリパーゼD / 生体液 |
Research Abstract |
本年度は主として酵素を試薬とする生体液中Caの高感度分析法に関する研究を行った。本分析法の測定原理は,ホスホリパーゼDがCa^<2+>により活性化されるので,Ca^<2+>により活性化された度合いをコリンオキシダーゼとペルオキシダーゼの2つの共役反応を用いて測定することにより,生体液中Ca濃度を求めるというものである。 キャベツ由来ホスホリパーゼDを用いての血清Ca^<2+>測定は可能であったが,その酵素は非常に不安定であり,実用的ではなかった。そこで今回は,非常に安定な微生物由来のホスホリパーゼDを用いた。しかし,微生物由来ホスホリパーゼDは活性化されるCa^<2+>の濃度範囲が非常に狭かったが,Ca^<2+>以外の2価金属イオンを添加すると,Ca^<2+>の測定範囲が広くなることが判明した。この効果はMn^<2+>で最も大きいことが判明し,Mn^<2+>添加系でのホスホリパーゼDの反応速度はサンプル中のCa^<2+>濃度として20mMまで直線的に増加し,良好な検量線が得られることも判明した。 共役酵素として用いるコリンオキシダーゼにはいろいろな由来のものが存在する。アースロバクター属細菌由来(東洋醸造)やアルカリゲネス属由来(東洋紡)のコリンオキシダーゼは市販されているが不安定で,調整試薬は長期間保存により混濁や沈澱が発生した。これに対して,放線菌由来のコリンオキシダーゼ(武田薬品工業)は50℃,2時間まで安定で耐熱性に優れていたので,本測定系には放線菌由来コリンオキシダーゼを用いた。その結果,試薬は混濁沈澱もせず,長期間安定になった。 本法はサンプル中に共存するMg^<2+>,Na^+,K^+,Cl^-等の他のイオンの影響は認められなかった。本法による血清Caの結果は原子吸光法による結果ともよく相関した。
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Research Products
(2 results)