1994 Fiscal Year Annual Research Report
食塩過剰に伴う高血圧の病態と視床下部由来の内因性ジギタリス様物質
Project/Area Number |
05671927
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
高橋 伯夫 関西医科大学, 医学部, 教授 (80094431)
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Keywords | 食塩 / 高血圧 / ウアバイン / ジギタリス / 視床下部 |
Research Abstract |
昨年度に完成させた高感度ELISAを用いて血清、尿、組織などを対象にして特異的ウアバイン様免疫活性物質(OLF)濃度を測定した。まず、それぞれの組織、尿、血液から粗抽出した分画をHPLCで細分画して、測定している対象がウアバイン様構造体(HPLCでの溶出位置から)に類似するものであることを確認した。以前にジゴキシン様免疫活性として測定したものと大差がない成績が得られた。すなわち、OLF濃度は下垂体、視床下部、副腎の順で、その他の組織と比較して大量に含まれており、DOCA-食塩負荷高血圧モデルラットではOLFの尿中排泄量が有意に増大していた。OLF一日尿中排泄量と血圧値は有意の正相関関係を認めた。視床下部と下垂体で濃度が高いことから中枢神経系が産生部位と想定し、抗ウアバインモノクローナル抗体を用いて視床下部での免疫組織化学的染色を行うと、室傍核と視索上核の細胞体にOLFを検出した。そこで、次にOLFの産生と放出機構を検討するために室傍核に密に分布するノルアドレナリン作動性神経の役割を、選択的神経毒である6-OHDAを脳室内に投与して検討した。その結果、投与24時間後では血中、視床下部中、下垂体中OLF濃度はいずれも著名に減少した。しかし、投与1週間後では明らかな回復傾向を認めた。このことから、OLFは視床下部より、ノルアドレナリン作動神経から刺激を受けて産生と放出を行っていることが示唆された。現在は、次年度に目標としているOLFの構造解析に向けて基礎検討中である。
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[Publications] 小宮山豊、他: "内因性ウアバイン様物質の高感度ELISAの開発と応用" Therapeutic Research. 16. 59-62 (1995)
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[Publications] Y.Komiyama,et al.: "Production of ouabain-like factors of hypothalamo-pituitary origin, determined by a sensitive ELISA for ouabain,is increased in DOCA-salt hypertensive rats" Pathophysiology. (in press).